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2026年01月13日

松尾スズキ作「クワイエットルームにようこそ」

昨夜ミラノ座で観たこの作品は20年前にまず小説として発表され、次いで映画化されて、今回のミュージカル化に至ったようだが、前2者を全く知らずに観劇したワタシには最初からミュージカルとして用意されたような熟れた感じで、現代の日本社会にわかりやすく一般受けしそうな作品に思えた。舞台背景はほとんどが精神科病棟で、精神科病棟モノとして真っ先に想い出されるのは昔観た「カッコーの巣の上で」という非常にコワイ映画だけど、この作品はブラックやホラーを売りにしてきた松尾スズキにしてはいささか拍子抜けするくらいにマイルドな仕上がりで、それゆえ現代のミュージカルファンにも忌避感なく受け容れられる作品かもしれない。何しろメンヘラという言葉が一般用語と化すくらいにマイルドにメンタルヘルスをやられている人はごまんといる現代社会だからこそのリアリティある人物像が数多く登場する中で、ヒロインは数々のショックとストレスが重なっていわゆるオーバードーズ(薬の過剰服用)に陥り自殺を疑われて、芸人上がりの台本作家である夫の手で精神科に運び込まれたという設定だ。そこで出会う摂食障害者や過食症、統合失調症といった女性たちがそれぞれの個性を発揮しつつ舞台はスラプスティックに進行する一方で、ヒロインと夫との関係性の揺らぎが抒情的に描かれる。ヒロイン役の咲妃みゆはほぼ出ずっぱりでパワフルな歌と演技を披露し、夫役の松下優也が往年のミュージカルを彷彿とさせるような甘い声を響かせて松尾のおかしな作詞を朗々と歌い上げるのも面白く、また病棟モノにありがちのドSなナースの役をりょうがコミカルに好演し、ベテラン秋山菜津子や皆川猿時の奮闘も得て退屈させないミュージカル仕上がっている。宮川彬良の今はいささか懐かしさを感じさせるような作曲も意外とこの作品にハマっていたような気がします(^_^)v


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