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2025年12月09日
海胆と湯葉の先付、唐墨等の八寸、鱈の白味噌椀、フグと鯛と鮪のお造り、蟹蕪、フグのから揚げ、牛しゃぶ、フグ雑炊
今日は世田谷文学館開催の「ドナルド・キーン展」を集英社の伊藤さんと見学してからキーン先生の弟子に当たるポートランド州立大学のコミンズ博士とお目にかかるつもりだったのが、なんとコミンズ博士ご夫妻が自ら展示会をご案内くださることに<(_ _)> 博士の解説を伺いながら見る展示物はどれも興味深く感じられたが、何しろ日本文学を世界に紹介した最大の功労者ともいうべきキーン氏と谷崎潤一郎や川端康成、三島由紀夫、大江健三郎といった近現代を代表する作家との書簡のやりとりを通し、各作家の筆跡はもちろん、日本語に堪能なキーン氏が日本の文字も意外なほどの達筆だったのが知れて面白かった。博士論文のテーマは近松の「国性爺合戦」だったことにはいささか意外の念を禁じ得ず、近松の研究に始まって最後の研究対象が石川啄木だったというのもまた意外ながら、その関係で啄木のローマ字日記が展示されたのも珍しいことだったようで、妻に日記を見られたくないために、あたかも西洋人が書いた文章のように筆記体の大文字と小文字を使い分けて内容は日本語で綴られたその日記は白眉の面白さだったといえる。またキーン氏が大の猫好きで自らを「黄犬」(キイヌ)と称していた日常生活の展示品やキーン氏を祀る特製の仏壇も唯一無二なご生涯を物語っているようだった。見学後は如水会館の橋畔亭に場所を移してご馳走をどっさり戴きながら歓談の時を過ごし、コミンズ博士と夫人から海外での歌舞伎公演をめぐるさまざまなお話が伺えたのは有り難かったが、一つショックだったのはマーク・大島氏がつい最近亡くなった報せだ。ハーバード大卒のインテリで歌舞伎研究に心を寄せるばかりか清元の演奏家、清元志磨太夫として時には舞台出演もされ、一時期とても親しくして戴いた方だけに早世が惜しまれてならず、謹んで御冥福をお祈りするばかりだった。
