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2025年11月07日
三谷かぶき「歌舞伎絶対続魂」
現在TVで放送されてるバックステージ物はイマイチでも、歌舞伎座で今月上演中の三谷初期の傑作「ショー・マスト・ゴー・オン」歌舞伎バージョンは満員の客席に笑い声の絶えない、そこそこ面白い舞台だった。設定は伊勢芝居の座本(愛之助)が「義経千本桜」四ノ切を作者の竹田出雲に無断で上演中に、なんと出雲がそれを観に来ることになり、絶対彼を納得させるような名舞台を見せなくてはならないにもかかわらず、この日に限ってトラブルが続出し、それでも何とか芝居を上演し続ける一座の楽屋裏を描いたドタバタ劇だ。難を言えば、出演者が幕開きからハイテンション過ぎて、甲高くなりがちなセリフが聴き取りづらかったことで、これには老巧な元締めなはずの頭取役を演じた鴈治郎がその場を抑えるだけの演技力が不足していたことの責任が大きいといわねばならない。面白いのは劇中劇で最初はおやっ(?_?)と思うような配役が途中でまともに出来る役者にチェンジしてホンモノの舞台を少し見せるところで、ヒロイン静御前を演じる役者(彌十郎)の代演をする下回りのガンバリ屋の女形に扮した莟玉の達者な演技は特筆ものだった。達者といえば相変わらず浅野和之の器用な演技には舌を巻いたものの、歌舞伎役者の多くは達者さよりも持ち前の愛嬌で勝負しようとしているのがわかる舞台でもあって、それはそれで歌舞伎役者らしいスタンスと言えなくもないのだろう、狂言作者役の幸四郎にも狐忠信を演じる役者の獅童にもそれを強く感じさせられた。出番をなくした女形役の高麗蔵と附師役の宗之助には、この俳優にこんな面白い味わいがあったのか!といささか驚かされたし、何より驚いたのは白鸚の出演で、惚けた老優の役を淡々と律儀に演じていたのが面白く、孫染五郎との共演が活力の支えかとも思われたのである。
コメント (1)
こんにちは
ちょっと時間はかかりましたが、”一場の夢と消え”が読み終わりました。大変な力作だと思います。浄瑠璃や歌舞伎、上方芸能には全く詳しくないので、恥ずかしいのですが、小説としてワクワク、ドキドキ、うっとりとそして、しんみりと毎晩、ベットに入り眠りにつくまで夢?のような時間でした。現代にも通じる視点も面白かったです。浄瑠璃、歌舞伎、歌、俳句と知りたいことが山ほど出てきて刺激的でした。次回作も楽しみです。
投稿者 ミセスせつこ : 2025年11月08日 14:00
