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2025年09月04日

鶏肉とソーセージのプレート

世田谷パブリックシアターで唐十郎作・金守珍脚色・演出「アリババ」/「愛の乞食」を観た帰りに翻訳家の松岡和子さんと文春の内山さんと近所の「マメヒコ」で食事。両作品共に唐の初期戯曲を関西弁に仕立て直した脚本で、細かく見れば東京の地名も大阪のそれに置き換えられたりしている点が上演の可否をある程度左右したことは否めない。唐作品のことに初期戯曲は抒情詩的に綴られたセリフから喚起される奔放なイメージの氾濫が魅力であり、そのセリフは「てにをは」に至るまで確固たる独特の文体で支えられているために、セリフの内容そのものを改変しているわけではなくても、今回の脚本だとセリフによって唐の世界が伝わってくるとは言い難い憾みがあった。その代わり連鎖劇風にバックの映像を多用することでそのイメージを伝えようとする試みが見えたものの、それが却ってイメージの広がりを制御する逆効果になっていた気もする。唐の在世時に比べて詞だけでイメージを喚起させることが非常に困難な時代に突入している現実を踏まえても、唐の文体に信頼を置いてそこに身を委ねるような上演はもはや出来ないのだろうか?と思いつつ、観劇後に会食したメンバーがメンバーだけに果たして翻訳劇の場合はどうなるんだろう?などと考えさせられたのであります(-.-;)y-゜゜


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