トップページ > 第1回日本舞踊を探る〜「山姥」〜」
2025年06月09日
第1回日本舞踊を探る〜「山姥」〜」
昨日は珍しく乗馬をせずに、青山の銕仙会能楽堂で集英社の伊藤さん、伊礼さんとタイトルの催しを観た帰りに新宿の銀座アスターで食事。
日本舞踊保存会なる団体?が主催する上記のイベントにわざわざ出向いたのは京舞井上流家元5世井上八千代師が地唄の「山姥」を舞われたからで、先日八千代師との対談に同席されたものの演舞をご覧になるのは初めて!という伊礼さんが「さすがに人間国宝ですね。わたしにも素晴らしい舞台だとハッキリわかりました」とホンキで感動されたのはお誘いした身として何よりだった。もっとも実際に舞われたのは後半部分の
伊勢音頭の件りからだったものの、〽山廻り…の件りで裏向きから振り返った瞬間の姿の大きさ、格調の高さはお見事としかいいようがなく、能がかりの面白さも井上流ならではだし、年齢を感じさせないキレの良さも先代写しというべきか。わたしもとにかく八千代師の舞台は久々の拝見だったけに芸の熟成ぶりに目を瞠る思いで、舞をもっと長く見続けたかっただけに、今回はイベントの一部で演舞時間がごくわずかだったのは残念だった。舞われなかった部分は地唄だけを聴かせるかたちで、菊寺智子師の演奏も詞のわかる非常に聴きやすい地唄だったし、能楽師のお二人も能の「山姥」を熱のこもった仕舞仕で披露されたにもかかわらず、全体として伝えたいもがイマイチよくわからないという点でいささか喰い足りないイベントに感じられたのは、2部構成の区分けが不明確だったのと、解説を兼ねた司会進行役の問題かと思われる。