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2022年12月21日

ドリームホース

コロナ前には1年に1本くらいのペースで「馬」をテーマにした洋画が日本で公開されてきたような気がするが、そういうわけで昨夜観たのは久々の「馬」映画で、しかも馬好きの人に特化した作品でなく、万人が勇気づけられる映画として紹介できそうだ。舞台がウエールズというのも珍しく、日本だと英国の一地方みたいな印象をもたれがちだけど、民族も言葉も微妙に違って国歌も別にある独立性の強い地域である。ワタシは40年ほど前に取材旅行した経験が一度あって、当時はとても鄙びた感じを受けたものだが、そのウエールズの中でもとりわけ鄙びた谷間の土地で高齢者だらけの村に住む、仕事しないダメ夫を抱えて昼夜バイトを余儀なくされている動物好きのオバサンが、突然とち狂ったように競走馬を所有する夢を見て雑誌やネット情報を駆使しながらまず繁殖用の牝馬を安値でゲットし、種付けするために人を募って20人ばかりの共同馬主が生まれ、町の公園みたいな場所で飼われていたその馬を、有名な調教師の元へいきなり運んで調教してもらい、その馬がなんとウエールズ一番の障害レースに出場するまでの一部始終が描かれている。つまりは実話でなければ成立しないほど突飛な「事実は小説より奇なり」的ストーリーで、共同馬主になる人たちも昔競馬で全財産をすりそうになった会計士とか、酔っ払いのお爺さんとか、ウンチク垂れることしかできないオジサンとかジャンキーなスイーツを食べることだけが生き甲斐のお婆さんとか、どちらかといえば人生に倦み疲れている人ばっかりで、その人たちが人生の後半で心臓がドキドキすることを味わいというだけの目的で一つになって、馬もそれを何とか果たしてくれるタイトル通りのドリームホースなのだ。勿論そこに到達するまでには馬にも人にも紆余曲折あって、そのつどハラハラドキドキさせられるし、ウルウル来たりもして、ラストは人生の後半を謳歌するって案外こういうことかもね、と思わせてくれる。一瞬これってドキュメンタリーかしら?と思うほど出演者は地味な俳優陣でも、それぞれのリアリティがしっかり感じられるキャスティングであり、各々の人生を切り取る一コマ1コマが秀逸で、馬の疾走のごとくハイテンポな展開だからあっという間の2時間でした。ご興味のある方はお正月映画にどうぞ!


コメント (1)


ダウントンアビーみたいなドラマも好きですが、かたや田舎のコミニティーでのどうしようもない連中の物語もハートウォーミングに終わると、見てよかったー、と思いますよね。馬は美しいので絵的にも見応えありそうですね。ご紹介ありがとうございます。

投稿者 ミセスせつこ : 2022年12月22日 10:49

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