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2022年12月06日

十三代目市川團十郎白猿襲名披露公演

昨夜は遅くに帰宅し、ブログをさっと書いて入浴してからW杯クロアチアVS日本のLIVE放送を前半戦まで観て、前田のゴールで、ああ、これはもう大丈夫だとして床に就いたのがまずかったのか(-。-;) 後半戦のクロアチアの猛追で延長線、PK戦にまでもつれこみ、敗退に追い込まれた結果は本当に残念としかいいようがないけれど(v_v)とかく残念なことが多い昨今の日本で、意外なほどの強さを発揮してコーフンさせてくれた森保JAPANには大いに感謝したいものだ。
残念といえば昨日の初日で残念だったのは、まず劇場全体に襲名興行らしい活気がゼンゼン見られなかった点で、それはコロナも多少尾を引いているのだろうが、ロビーにはよくご贔屓からの贈り物を積物(つみもの)と称して披露するのが恒例なのに、それもほとんどないので長い幕間の時間の潰し方に困ったくらいである。口上も今月は市川一門と親戚筋に限ったとはいえ、また白鸚の休演も響いているとはいえ、各人の余りにもあっさりし過ぎておよそ芸が無い口上には愕然とさせられた。これは何か襲名当人が市川家ならではの「にらみ」を際立たせるために一同に要請して、こんなしょうびんなものになったのかどうか、関係者に訊いてみたかったくらいである。
中幕の「團十郎娘」は市川ぼたんが歌舞伎の本興行では60年ぶりに女性で一本の出し物を上演することに何かと物議もあったようだが、初日とは思えぬ堂々とした舞いぶりにはちょっと唸らされたものである。とにかく可愛らしい女の子がパワフルでもあるという設定にぴったりハマっていて、右團次が付き合う恰好で、これは何とか出し物として成立していた。
夜の部でホンキの出し物はやはり「助六」で、玉三郎の揚巻はこれが見納めかと思ってわざわざ観に行ったのだけれど、70代とはとても思えぬ容姿に、何といっても声がほとんど衰えていない点は、わが愛する歌右衛門勝りともいえそうだ。「悪態の初音」の件りは世話がかり過ぎてやや生っぽいきらいがないとはいえないものの、ある時期から歌舞伎界全体でセリフをわかりやすく言うモードに突入したらしいのを考えたら、今後の揚巻もこの路線を踏襲することにはなるのだろう。髭の意休も弥十郎が演じることでこれまでより断然セリフがわかりやすく聞こえたし、その分昔のように結局わけがわからんけど何だか有り難いお芝居みたいにはもう絶対なれないのが歌舞伎の現在位置だと、われわれ観客も関係者各位も心得るべきだろう。嬉しかったのは勘九郎の白酒売り新兵衛が故勘三郞を彷彿とさせて、ああ、本来なら故人がこの役をやるはずだったのに……と思わせつつも、勘九郎がその大役に十分堪え得るまでに成長を遂げたことである。
猿之助の通人はもっとはっちゃけるのかと思いのほか、この人意外とマジに歌舞伎の将来を憂えてるのかも?という印象を残したし、彼が心配するのは無理もない気がしたのは、若手総出演の豪華な舞台のはずなのに、肝腎の助六に花というかオーラというか身の輝きが乏しくてむしろ暗い印象が持たれたせいである。これはセリフがどうとか発声がどうとか芸がどうとかいう以前の問題で、海老蔵襲名の頃を観ている者としては、一体どうしちゃったんだろう?と案じられた。悪い噂が飛び交ったのも尾を引いてやや萎縮しているきらいがあってもおかしくないにせよ、襲名当人は今が人生でイチバン輝くべきはずの時であり、襲名披露公演はその輝きを観に行く興行なのだからして、関係者各位がそれを一体どう考えているのか訊いてみたいくらいだったが、初日なのにロビー等でダレも知り合いに会わなかったのもまた珍しいことである。もっともワタシの知ってる関係者はもうほとんどが過去の人だろうから、ワタシと同様にどうしちゃったんだろう?と思っているか、もう完全に見放しているのかもしれない。ともあれ、この公演を襲名披露として高額に売りだした興行主はふてえ野郎だと、ダンビラを振りかざして襲いかかるような人たちもイマドキはいないからいいようなもんの、と思いながら劇場を後にした次第です(-.-;)y-゜゜


コメント (3)


PKで勝った記憶があまりないのでPKで勝ち上がってきたクロアチア相手に嫌な予感しかしませんでしたが、果たして最後の最後で勝ちを逃しました。それでも日本はよく戦いました。ブラボー!!Keisuke Hondaの言う通り、日本にとってのワールドカップはまだ終わってない。敗因を分析し、4年後に向かって欲しい。まずはお疲れ様、有難う。

投稿者 マロン : 2022年12月06日 22:56

今朝子さま、
そういうもんなんですねぇ
私は、歌舞伎の芸とかに関しては、わからないので、なるほどと思うばかりですが、ひとつだけ、ご贔屓からの贈り物が淋しいというのは、「まぁ、失われた30年と言われる日本で、当然だろう」と思います

だって、それは企業からだと、広告宣伝費?かと思うのですが、それは毎年縮小しているし。
(それに、今どきは、そういうところに派手にお金離れのいいとこ見せたりすると、いろいろ言う人が居そうですし。
だって、東芝にとって、『サザエさん』の提供するくらい微々たる額だったようですけど、「こんななっても、まだやるのぉ?!」みたいな言われ方して、結局やめちゃったみたいだし。そういうご時世なんですよ、もうねぇ、民の心も貧しいんです。あ~ぁ)
個人からだと、お金持ちって、どんどん日本から逃げ出すというか、見捨てちゃってるようですし。

10年以上前からかなぁ、それまでBSでやってたようなCMが、どんどん地上派に広がってきて、なんかTV番組そのものが安っぽくなった感じがして、イヤだったけど、それはもう年々増えていって、今や、まともなCMが流れる時間の方が、ずっと少ない気がします。あ~ぁ

私が見に行った日は、たまたま團十郎さんのバースデーだったようで、それに絡めて、猿之助さんの通人が楽しかったです
勘九郎さんが、いきいきしてて、よかったですわぁ。

投稿者 せろり : 2022年12月08日 18:12

そうなんですね。さびしいです。
まさしく「わけがわからんけど、なんだかとてっも有難いもの」を見せてもらったというのが、わたしが初めて歌舞伎座に訪れた時の気持ちでした。
歌右衛門様のセリフが呪文のようにも聞こえ、意味がよくわからなかったのですが、これは、そこはかとなくすごいものに違いないという、オーラを感じ、惹きつけられました。
故勘三郎さん、大好きでした。私がよく見てた頃はまだ勘九郎さんでしたが、彼が舞台に現れるだけで、もう、ワクワク感が高まりました。存在感が半端なかったです。玉三郎さんとの絡みでいえば、一本刀土俵入りが忘れられません。現勘九郎さんは、彼が子供の頃しか見たことがないのですが、お父さんを彷彿とさせる演技を、是非いつか見てみたいです。
團十郎、そんななんですね。若い頃は、お父さんを遥かに凌ぐ團十郎になるのかと思ってましたが。残念です。


投稿者 TANA : 2022年12月09日 00:46

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