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2022年11月10日
トッケイと華
今日は午後から翻訳家の松岡和子さんと旧友のモリと一緒に下北沢のシアター711で中村まり子主宰のパニックシアター公演を観劇。近年ほぼ毎年のように主宰者の自作自演で都会派の良質でハートウォーミングなウエルメイドプレイを提供し続けてきた同カンパニーも、コロナ禍で一時中断を余儀なくされたようだが、久々の再開に詰めかけた多数の関係者を十分満足させる内容だったのは歓ばしい限りである。今回は高齢のギャラリーオーナーが経営するシェアハウスを舞台に、そこに下宿する若者たちの夢やオーナー自身の家庭事情がきめ細かに描かれる中で、トッケイヤモリというカラフルな爬虫類がそのハウスに闖入して、戦争体験のある有名な画家だったオーナーの父親が大往生を遂げるまでにちょっとフシギなストーリーが展開する。シェアハウスという舞台設定は人物の登退場を自然に感じさせたのみならず、そこは皆が夢を叶える前の住み家だから夢を叶えたら出て行ってしまうという存在自体の切なさが漂う幕切れは秀逸だった。キャスティングの良さも手伝って自然な演技が登場人物を身近にして、高齢者の心に寄り添うストーリーを押しつけがましくなくリアルなものに感じさせた。というわけで私たち3人も芝居に大いに満足して盛り上がり、帰りは下北沢の駅ビルにある「シュマッツベーカリー&ビア」で意外なほど美味しいドイツ料理の数々を堪能した次第。ここにはドイツ製のノンアルビールがあって、ノンアルでもちゃんとドイツビールの味がするのはビックリでした(!_+)