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2022年11月09日

歌舞伎&落語 コラボ忠臣蔵

昨日上記タイトルの公演を観に行ったのは幻冬舎のヒメを通じて国立劇場編集企画室から劇場プログラムの寄稿依頼があってご招待を戴いたためだが、落語の『中村仲蔵』に歌舞伎の「忠臣蔵」五、六段目をコラボした珍しい公演で、落語のほうは春風亭小朝の出演というので興味が持たれた。『中村仲蔵』は芝居噺だから歌舞伎役者らしさを身につけていない人には出来ないし、イマドキの歌舞伎役者を見ても何の参考にもならないので、これを高座にかけて聴いていられる落語家はほぼ同世代の小朝師くらいではなかろうか?とつねづね思っていて、今回実際に聴いてみたら、期待通りの面白さというか違和感のなさで芝居噺はまだかろうじて健在なことが証明された感じだ。『中村仲蔵』の前にもう一席『殿中でござる』という新作落語があって、これが前座の演題かと思いきやご本人の自作自演で、菊池寛の短編小説をモチーフに吉良上野介の立場からの皮肉な視点で事件を追い、キワモノネタも満載で忠臣蔵事件のオモシロ解説を公演冒頭に聴かせたのは現代の観客に配慮した工夫ともいえそうである。落語二題の間に色物として太神楽が上演されたが、これが同劇場の研修生出身とかで習得した技能を真摯に披露して、そのスリリングな芸が客席を大いに沸かせていた。
落語は一人の優れた芸人が高座に上がればそれで十分成り立つが、芝居は決してそういうわけにはいかないことを今回のコラボは皮肉にも証明した恰好でもある。「忠臣蔵」の勘平を勤めた芝翫は、五段目で竹本の不備もあってやや走り過ぎな演技が気になったものの、六段目は丁寧な運びの熱演でニンも風姿も悪くなかったのに、芝居全体がスカスカの感じだったのは余りにも無人な一座だったからに他ならない。おかや役の芝喜松改メ梅花と原郷右衛門役の歌六で何とか芝居の恰好はついているものの、「他の役はみんないっそ小朝師匠に演ってもらったらもっとずっとまともだったわよ!」と憤慨してたのは元米朝事務所の大島さんであります(-.-;)y-゜゜


コメント (1)


今月の国立は興味がわきませんでしたが、ブログを読んで切符を買いました。「殿中でござる」で思い出すのは、今は亡き国本武春の「忠臣蔵」!討ち入りが近づくと、この浪曲と落語界のコラボが楽しくて、吉良役の春風亭昇太が客席を逃げ回ったり、「皆さんも討ち入りの義士です!」と客席にも鉢巻が配られたり、最後は柳亭市馬の俵星玄番で大団円、という楽しい趣向があって、舞台と客席が一緒に盛り上がったのに残念です。

投稿者 ウサコの母 : 2022年11月11日 21:46

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