トップページ > 世界は笑う

2022年08月23日

世界は笑う

今日の午後は渋谷のシアターコクーンでケラリーノ・サンドロヴィッチ作・演出「世界は笑う」を観劇。ケラの芝居はいつも長いのだが、今回は4時間近くあると聞いていささか恐れをなしていたのだけれど、その4時間近くをアッという間に感じさせた巧妙な作劇とテンポのいい演出、ほぼ出ずっぱりの俳優陣の奮闘をまずは讃えたい。舞台は昭和30年代の新宿に於いてムーランルージュ閉場後も同様の軽演劇公演を続けている劇場で、テレビ時代の到来によって淘汰されつつあるコメディアンたちや裏方をはじめそこに関わる大勢の人びとの、笑いあり、恋あり、涙ありのさまざまな人生模様を描いた群像劇が展開される。各人それぞれ人間的な弱みやコスっ辛さや心の闇を抱えるなかで、何とか辛うじて命脈を保っていたこの劇場が意外なカタストロフィを迎える顛末はネタバレしないよう詳述を避けるとして、瀬戸康史、千葉雄大、勝地涼、伊藤沙莉といったお茶の間でも知られた若手俳優陣が想ったよりも健闘していて、大倉孝二や銀粉蝶、ラサール石井らの芸達者が脇をガッチリ固めており、中でも思いのほか強い印象を受けたのは敗残の姿をさらしつつしぶとく生き延びる老コメディアンを演じた温水洋一だった。


コメントしてください




ログイン情報を記憶しますか?


確認ボタンをクリックして、コメントの内容をご確認の上、投稿をお願いします。


【迷惑コメントについて】
・他サイトへ誘導するためのリンク、存在しないメールアドレス、 フリーメールアドレス、不適切なURL、不適切な言葉が記述されていると コメントが表示されず自動削除される可能性があります。