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2022年04月29日

ジャンル・クロスⅠ新世界

今日は午後から「さいたま芸術劇場」で近藤良平with長塚圭史の『新世界』を観て土砂降りの中を帰宅途上で雨宿りに立ち寄った「銀座ライオン」大宮駅前店で晩ご飯を(^^ゞ
亡き蜷川幸雄の後任として「さい芸」の新たな芸術監督になったダンスカンパニー「コンドルズ」主宰の近藤良平が同劇場で初めて手がけるパフォーマンスの初日とあって超満員の客席ながら、顔見知りがダレもいなかったのはやはり客層がいささか異なるせいかもしれない。ワタシもその昔「ぴあ」とかの仕事をしていた関係でコンテンポラリーダンスをよく観ていた時期があったとはいえ、最近はすっかりご無沙汰しているせいで、今回の公演はさほど期待したわけではないし、いざ幕が開いても最初のうちは正直いってこの程度の群舞をずっと見せられるのはつまらないな〜という気持ちでいたのだけれど、ソロ・シーンが始まれば各人の傑出したワザに次々と感嘆させられて、なるほど群舞はダンス専門ではないそれぞれ違ったジャンルのパフォーマーがごちゃ混ぜだから、フリが拙く見えたりバラバラだったりするのもご愛敬なわけなんだ〜と納得させられたものである。中にサーカス専門のメンバーが3人もいて、空中ブランコはもとより大きな輪っかを使うシルホイールや、天井から吊した布を使ったエアリアルアクト等のスリリングなサーカス芸を次々と披露してくれるし、ほかにも本来は座芸であろう切り絵師まで本職のダンサーに混じって群舞するのだから、多少動きが悪かったり揃わななかったりするのは当然でもあろう。そしてソロ・シーンになれば本職のダンサーは俄然さすがに間然するところのない圧倒的な動きを披露して、やはり今日はダンスパフォーマンスを観に来た甲斐があったという気持ちにさせられた。コンテンポラリーダンスにしろ日本舞踊にしろ舞踊は一口にいって人間の重心移動の仕方が基本の芸能であり、その移送の仕方によってストイックで内向的な芸にもなれば、ダイナミックで開放的な芸にもなる。近藤良平の振付は南米的といっていいのかどうかアバウトな開放性に満ちた振付で、昨今の閉塞的な世界の気分を一新しそうな勢いが感じられた。そうしたコンセプトを引きだした長塚圭史の参加は大いに評価されるも、舞台に登場する数少ないコトバの精度を上げる責任はもっと果たしてほしい気がした。


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