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2021年05月27日

海老とアスパラガスのアンチョビ炒め

オリーブ油でニンニクのみじん切りを炒め、アンチョビを入れて溶かしアスパラガスと皮を剥いてワインに浸けた海老とマッシュルームを炒め合わせて仕上げに粗挽き黒胡椒を振っただけ。
今日は片岡秀太郎丈の訃報に接して、共同通信社の取材もお受けした。
秀太郎さんとは去年亡くなった坂田藤十郎(当時は中村扇雀)主宰の「近松座」でお仕事をよくご一緒して、親しくお話をしたこともあった方であり、今や享年79は決して大往生とはいえない年齢だけに大変残念でならない。初めてお目にかかったのは1987年の青山劇場で、もちろん舞台はそれ以前から、京都にいた中高生の頃に「若松会」という先代仁左衛門の子息たちの勉強会から観ていたし、向こうも「川上」の娘としてご存じだったので初めて会ったような気は全然しなかった。当時わたしは武智鉄二師の慣れない演出助手を務めて秀太郎さんに怒鳴られたりもしたが、拙い台本を賞められたりもしていて、藤十郎が相手役として大切にされていた方だったし、またご本人も「近松座」には非常に協力的で且つ近松原作を尊重する意義に共感して台本をきちんと読んでくださる数少ない役者さんだったから、わたしは常に感謝をしていたし、大いに頼りにしていたところもある。近松座を辞めて随分たってから急にご連絡を戴いて半蔵門のグランドアークホテルのラウンジで久々にお目にかかり、当時はまだ今後に売り出す予定だった愛之助丈に脚本を書いてもらえないかとお頼まれしたことがあったものの、わたしはもう芝居には一切関わらないと決めていたので、残念ながらお断りしたのがお互いにきちんとお話をした最後だった。舞台のほうはその後も一観客として見続けており、ある時期から芸に豊かなふくらみが出て、丸本時代物の老け役をこなされると他とは断然格が違った立派な役者さんに見えることに感心し、それでいて梅川のような役ではまだ若々しく可愛らしくも見えることに驚嘆させられたものである。先代仁左衛門に一番可愛がられて若い頃は天才児と持てはやされていた役者さんだと聞いた覚えがあるが、晩年に至ってその真価が滲み出て来たような舞台を数々見せてもらえたし、上方歌舞伎に関する幅広い蘊蓄を体現して示せる方でもあったので、もっと長く後進の指導に当たられることを期待していただけに返す返すも残念に思いつつ、謹んで御冥福をお祈り申し上げます。


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秀太郎さん、まだ80才前なのに残念でたまりません。歌舞伎にハマってから見た映画「片岡仁左衛門」が素晴らしく、その後13代目さんの命日にはお参りしています。10年以上昔、観劇前にお参りした折、秀太郎さんがいらしてご挨拶した所、「これから歌舞伎座なら、一緒にどうぞ」と車に乗せて頂きました。思いがけない事にドキドキしながら助手席でお話させて頂き、「電車でお墓参りする時は、この西馬込駅から乗れば歌舞伎座へ1本で行けるんですよ」などと教わり、楽屋口で降ろしてもらうまで夢の様な時間でした。数時間後、3階席から観た「御浜御殿」の祐筆江島が、先ほどまでご一緒した方とは信じ難く、忘れられない大切な思い出です。その後も歌舞伎座向かいで震災の募金活動をした際も快く募金して下さり、松嶋屋ご一家は苦労なさったのでファンを大事になさるのは知られていますが、身をもって体験しました。一昨年7月松竹座夜の部で仁左衛門さんと一緒に現れた時、特別に嬉しそうなのが印象に残り、翌日、人間国宝の報で、その喜びの源を知りました。梅川、おえん、おきさなど秀太郎さんならではの上方の味わいがもう見られないのは哀しいですが、今は大好きな「お父ちゃん」と再会して、お喜びのことでしょう。心より、ご冥福をお祈りいたします。

投稿者 ウサコの母 : 2021年05月28日 19:55

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