トップページ > 焼肉ほか

2020年10月13日

焼肉ほか

旧友モリと新宿オペラシティ内の「叙々苑」で新国立劇場公演シェイクスピア作・鵜山仁演出「リチャード2世」を観る前に食事。日本で余りメジャーではないこの作品をワタシは先年ニナガワ演出で初めて観て大変面白い戯曲だと再認識したので、昔「ぴあ」の演劇記者を務めながらコロナ禍で舞台から全く遠ざかってしまったというモリを誘って観劇したのだけれど、正直ちょっと期待外れをさせてしまったという感じだ。この戯曲は政権交代を真っ向から描いて、王の存在や王権とは何か、権力とそれを取り巻く人間像を問う骨太の史劇として面白く、タイトルロールのリチャード2世は致命的な失政をする暗君で政権交代を余儀なくされる一方、「いかにも王らしいお姿」で「これほど美しいお姿が害され、汚されるとは!」と周囲に嘆かれる存在として悲劇的な人物たり得るのだが、今回演じた岡本健一は達者な舞台俳優ながら、昔風に一口でいって「ニン」が違うというべきかもしれない。前半を軽妙に演じる余り後半では人格像の辻褄が合わなくなっていて、モリにいわせると「こっちがどう見たらいいかわからないよね」となる。この点は他の役者にもいえて、そこそこ達者な俳優を集めたにもかかわらずトータルとして伝わってくるものが薄いというか今一つハッキリしないのだった。ニナガワ演出の情緒的な路線を回避すべく敢えて乾いたタッチで軽妙に運んだということもありそうだが、観客が「どう見たらいいかわからない」のではやはり困ってしまう。政権交代や王権の意義といっても、トランプにしろ金正恩にしろルカシェンコにしろアベスカにしろ現代の王様は実に滑稽極まりない存在と見られているのを反映して、敢えてカリカチュアライズ路線を取った演出だったんだろうか(?_?)と思ったりもしました。


コメントしてください




ログイン情報を記憶しますか?


確認ボタンをクリックして、コメントの内容をご確認の上、投稿をお願いします。


【迷惑コメントについて】
・他サイトへ誘導するためのリンク、存在しないメールアドレス、 フリーメールアドレス、不適切なURL、不適切な言葉が記述されていると コメントが表示されず自動削除される可能性があります。