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2019年06月05日

三谷かぶき

昨晩は歌舞伎座で三谷かぶき『月光露針路日本』をPメディアの三村さんと一緒に観て帰りが遅くなったのでブログの更新はしませんでした<(_ _)>
三谷幸喜の新作歌舞伎はパルコの『決闘!高田馬場』が面白かったし、その時と同じく幸四郎、猿之助のキャスティングだから観たのだけれど正直ウ〜ン何だかな〜^_^;なのでした。
原作は漫画の『風雲児たち』だというからてっきり幕末モノかと思いきや(現在「コミック乱」に連載中のは幕末編で、同誌は以前『仲蔵狂乱』の漫画版を連載していた関係でウチに送られて来るのでワタシはずっと読んでるのでした ) ゼンゼンそうではなくて江戸中期に遭難してロシア領に漂着した伊勢の船頭大黒屋光太夫の数奇な運命を描いた作品である。みなもと太郎の原作はギャグ漫画風のタッチでありながら結構しっかりと史実も押さえた作品であるとはいえ、光太夫を扱ったものには映画化もされた井上靖の有名な小説もあるのに、三谷が敢えてマンガ原作にこだわったのは、日本に帰ろうとしながら結果どんどん日本から遠ざかってしまう光太夫一党のロシア行をいささか皮肉な悲喜劇として眺める視点にこだわったせいなのかもしれない。とはいえロシアの役人にたらい回しにされた大黒屋光太夫は帰国後の日本でもまた政治利用されそうになるなど何かと皮肉な運命がつきまとう人だから、それをも含めてシニカルに描かれるのかと思っていたら、日本に帰りたい執念ばかりがクローズアップされた結果、主役の演技が一本調子にならざるを得ず、日本に帰れなかった二人の話もお涙頂戴式の芝居にしかならなかったのは、せっかく演技が達者な猿之助や愛之助をキャスティングしていながらいささか期待外れの感があった。それでもカーテンコールはスタンディングオベーションだったから、能力のある気の利いた若い人たちはこれからどんどん日本を見捨てて海外に行っちゃうに違いないとされてる昨今の世相だからこそ、敢えてニッポンにこだわる芝居が歌舞伎座で受けると踏んで書かれた新作なのかもしれないなあと思ったりもしたし、随所にくすくす笑えるセリフもあったし、竹本を駆使して千鳥の合方なんかも使ったりする歌舞伎演出の取り込みもまずまずなのだけれど、ワタシ的にイチバン面白くて大いに盛り上がったのは着ぐるみの犬がドドーッとたくさん出て来る雪中犬ぞりのシーンでしたσ(^◇^;)


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