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2019年05月10日
ハムレット
昨夜は渋谷のシアター・コクーンで「ハムレット」観て帰宅が遅くなったのでブログの更新はしませんでした(^^ゞ
岡田将生のハムレット黒木華のオフィーリアという配役に加えて英国の新進サイモン・ゴドウィンの演出にも興味があって観たのだが、意表を突かれたシーンもいろいろとあって、本場の人でないとここまで思いきった現代化はできないのかも?と思いつつ、賛否両論あるような面白い試みと窺えたものである。まずテキストが、こんなにわかりやすい話だったっけ!と驚くほど筋をきちんと辿れるように拵えてあって、その点では超訳小説のライトでコンパクトな感覚にも似た印象を受け、演技演出もまた「資産家家庭の崩壊」とか「統合失調症の若者たち」といった現代的な読み解きが可能なスライドをさせてあるから、結果、古典劇としての器の大きさはなくなっているものの、極めて等身大のドメスティックな悲劇としての共感を呼ぶところはありそうだ。ドメスティックな悲劇にふさわしく舞台装置も極めて閉塞感のある造りになっていて、ストーリーが密室の羅列で成り立つように流れるのはこの戯曲の読み解き方としてある種新鮮でもあった。美術的にはアールデコっぽいので第二次大戦前と現代の世界情勢の不穏な空気を重ね合わせたように感じさせるところもあるが、意表を突かれた演出は例の「生きるべきか死ぬべきか」の独白や、一幕と二幕のカットアウト繋ぎや、舞台に雪を降らせる!とかいろいろで、それらが今までにない有効なシーンと見えたり、完全に滑って見えたりもして、必ずしも肯定的にばかりいうのではないけれど刺激的な舞台であるのは確かだった。松雪泰子のガートルードが思わぬ拾い物だったのも付け加えておく。
コメント (1)
「ハムレット」、来週観に行きます。岡田将生くんは舞台で輝きますよね。
「ハムレット」はシェイクスピアの最高傑作と言われることも多いのですが、私には高すぎる山なのか自身にストンと落ちる台詞があまりなく、観る度に「難解だなあ。」と感じるので、今朝子先生の評から察するに少しわかり易くなっているのかな、と思いました。
投稿者 マロン : 2019年05月10日 22:59