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2018年12月05日

歌舞伎座12月公演

きのう12月4日はPメディアの三村さんと歌舞伎座の夜の部を観てからお茶して帰宅が遅くなったのでブログは更新しませんでした(^^ゞ
最近では珍しく歌舞伎座に行きたくなったのは玉三郎がなんと「阿古屋」の岩永を演じるという衝撃的な配役を知り、ホントどうやるんだろう (?_?) という純粋な好奇心をそそられたからである。
岩永はいわゆる赤っ面の敵役で、およそ真女形が務める役ではないし、五世歌右衛門が「山門」の石川五右衛門を演じたどころではない奇っ怪さを感じさせる配役だけに、当初は関係者も相当心配されたのではなかろうか。しかし実際に観たら、そうか、人形振りだから出来ないことはないんだ〜と妙に納得させられてししまった。実に堂に入った人形振りという以上に文楽人形を完全に模写したメイクや所作には大いに唸らされ、さすがに舞台での見え方を何より重視して来た人だけのことはある!と感心しきりとはいえ、生粋の玉ファンがこれを観て嬉しくなるかどうかはわかりません(^_^;)玉三郎の美しさを愛でてきたファンにはタブーなんじゃなかろうか?という役作りもやってしまうあたりが、やっぱり玉サマなのかも?と思ったりもした。もう何十年も前のまだ若くて本当に美しかった頃でさえ「女人哀詩」の主人公を明らかな汚れ役として演じた人だけに、女性をあくまで美しく演じるのが真女形という常識的な概念をひっくり返すこともやぶさかではないのだろう。結果、阿古屋を初役で演じる若手役者に対して同じ舞台で目を光らせていられるのだから、芸の伝承はこの上もなくキチンとなされるのだろうし、実際、主演ばかりでない役者全員と竹本連中がいつになくピリッとして非常に緊張感のある舞台が成立し、こうした古風な丸本物は今やこれくらい緊張感のある舞台しないと観客の集中力が保たないかも?という気にもさせられたのである。肝腎の阿古屋は玉さんを含めたトリプルキャストで、ワタシが観た昨夜は梅枝がこれまたいつになく神妙に演じて、琴三味線胡弓の三曲も、三十そこそこでこれくらいこなせたらまずまず、といえそうな手堅い演奏だった。ワタシの中には六世歌右衛門の三味線と玉さんの胡弓が名演奏として記憶されるが、その演奏が阿古屋の心情を吐露するように感じさせる点では歌右衛門に軍配が揚がり、三曲演奏の面白さが純粋に伝わってきたのは玉三郎だったような気がする。梅枝はまだきちんと演奏するので精一杯なのは無理もなく、岩永の動きもからんだ胡弓の面白さが少しでも発揮できるのは楽日近くまで待つ必要があるのかもしれない。ともあれ今後を期待させる初演だったし、児太郎の阿古屋も観たい気はしてるのだが、如何せん師走というタイミングではちょっと無理かもです(^_^;中幕の「あんまと泥棒」は人柄が悪い人間の役を好んでするようになったみたいな中車に打ってつけの演目とはいえ、もう少しソフトで粘っこい人物描写が欲しいところで、やって出来ない人ではないだけに最近は人物のラクな類型描写に陥りがちなのがちとザンネンだ。キリはこれぞ玉三郎の世界といった新作舞踊で、とにかく身体的な美しさをキープするのも俳優の大変な才能であると感じさせたのでした。


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