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2018年10月04日
メタルマクベス
きのう10/3日は翻訳家の松岡和子さんとエッセイストの平松洋子さん、漫画家の萩尾望都さんとマネージャーの城章子さんとご一緒に豊洲のIHIステージアラウンド劇場で「メタルマクベスdisk2」を観劇した後、平松さんにご案内をお願いした銀座六丁目の「馳走 啐啄」で次々と出される美味しい料理をたっぷり戴きながら、「ポーの一族」ヅカバージョンの成果から熊本市議会の問題に至るまで幅広い話題で歓談の時を過ごしました(*^^)v
劇団☆新感線の宮藤官九郎脚本・いのうえひでのり演出の「メタルマクベス」を観たのは今回が初めてだが、シェイクスピア原作の骨格を意外なほど崩さずにミュージシャンの欲望や業界の抗争を基軸にし且ついわば「暗い近未来モノ」仕立てにした脚本の巧みさがまず印象的だった。観る前は何しろ客席がグルグル回る劇場でヘヴィメタを4時間も聴かされて気持ち悪くならないかしら(^_^;という不安が正直あったのだけれど、全く疲れも飽きもせず、さほどの時間を感じさせずに見せた演出の冴えはさすがというべきか。プロジェクションマッピングの摂取の仕方も巧みで単なる背景としてではなくVR風に用いられていて、舞台空間が文字通り縦横無尽に使われることで展開がテンポアップするのもこの劇場ならではだろう。ただし出演陣は大奮闘の動きを要求されてさぞかし大変だろうな〜と察しつつも、精神的には発散できて気持ちがいい舞台でもあることはカーテンコールの表情に窺えたものである。
主演の尾上松也は蜷川演出の「ボクの四谷怪談」でもロックの歌唱力が十分あるところを聞かせてくれたが、歌舞伎界でこうしたハードなロックミュージカルがこなせる人材は稀有だと思われるし、歌舞伎役者らしいカラダの使い方の大きさが主役としての存在感を発揮させる一方で、甘い情感を繊細に表せる役者に成長しているのがウレシイ。相手役の大原櫻子も小柄で華奢な容姿に似合わぬ迫力ある歌を披露していた。原作よりもはるかに役がよくなっているのは最初に殺されるダンカン王と、マクベスと共に3人の魔女に出会うバンクォー将軍に相当する役で、それぞれ木場勝己と岡本健一という達者なメンバーを揃えたところは制作の勝利といえそうだ。木場は意外な気がするほど十分に歌える!し、今やお父さん役としてイジられながらも男闘呼組時代を彷彿とさせるギターの生演奏を披露して顔が少しも歳を取らない(!_+)岡本の魅力も活かしつつ、若手メンバーのフル活動が劇全体を大いに盛りあげた舞台だった。
コメント (2)
今朝子先生の観劇なさった翌日、2度目の「メタルマクベス」に行って来ました。開幕してすぐに見た時に比べて遥かにこなれており、役者さん同士の掛け合いもテンポが良く、台詞も内面から溢れているように感じました。もしかしたらライブビューイングのカメラが入ったせいで気合も入ったのかも。
いのうえさんの演出は、染五郎が「現代の歌舞伎だ」と言ったように形式美へのこだわりが強く、役者の立ち位置には番号をふったピンを打ってあるとか。「メタル」の冒頭エクスプローラー(マクベス)登場シーンや「髑髏城の七人」のクライマックス、戦いながらスローモーションで7人が一列に並びシルエットになるシーンなど、思わず「よっ!〇〇屋!!」と声を掛けそうに。(私はそこで必ず拍手です。)
王の木場さんは、確か蜷川氏の「天保十二年のシェイクスピア」でも歌を披露しています。
宮藤官九郎脚本ものは、12月に本多劇場で新作「ロミオとジュリエット」を見に行く予定です。これも松岡和子さん翻訳です。ロミオが官九郎さんのお仲間の三宅弘城さん、原作に忠実にやります、とのことでしたが、果たしてどんなロミジュリになることか・・・楽しみです。
投稿者 マロン : 2018年10月05日 08:09
訂正です。メタル主人公はランダムスターでした。エクスプローラーはバンクォーでした。
投稿者 マロン : 2018年10月06日 07:38