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2018年05月15日

人間万事金世中

国立劇場で前進座公演「人間万事金世中」を観た帰りに大宮駅ナカで食事。
黙阿弥の散切り物の中でも異色の翻案劇で、英国の作家リットンの原作を全く知らないために、正直どの程度準拠しているのかも全くわからないのだけれど、日本における第一次グローバリゼーション明治の文明開化を背景にイマ話題の大韓航空会長ファミリーみたいな強欲家族が登場し、やはりそれらは従来の歌舞伎の延長線上には描けなかったであろうキャラクターだと改めて認識させられた次第。莫大な遺産を受け継いだ若者を取り巻く親類たちが欲にかられて繰り広げるドタバタ喜劇の一方で、人情に篤い人びとの善意が称揚されるという実にたわいもない筋立てながら、初演の舞台では明治の團菊左が揃い踏みした作品としての大きさをそれなりに感じさせた好舞台といえる。前進座の歌舞伎は常にわかりやすさをモットーとしているようなところがあるが、今回はストーリーがただでさえシンプルなせいか、下座まで非常にわかりやすく仕立ててあるのが印象的だった。


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