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2018年04月08日

第16回はなやぐらの会

毎年このシーズンに紀尾井町ホール(右はホール周辺の八重桜がまだ散ってなかった証拠写真)で催される鶴澤寛也主宰の「はなやぐらの会」も早や16回を迎えて満席の大盛況だったのは、むろん主宰者の三味線演奏もさることながら、当代一の女義で、且つ文楽も含めて現在に聴いておくべき唯一人の太夫ともいうべき竹本駒之助師の語りに負うところも大であろう。
今回の演題はご存じ梅川忠兵衛「新口村」の段で、駒之助師は出だしから緊迫感溢れる語り口で二人の逃避行の雰囲気をよく醸しだしていたものの、やはり忠兵衛の実父である孫右衛門がホンネとタテマエの間で微妙に揺れる心理を一言一句きっちりと切り変えながらリアルに描写した語りの素晴らしさは感動に値して、久々にライブの浄瑠璃で泣かせてもらったものである。それだけの語りに対抗するというよりサポートする形で寛也はきちんと弾きこなしていたが、やや駒之助師に引きずられぎみだったという印象は否めない。
この段に関しては『浄瑠璃素人講釈』に三味線の名人団平の口伝が記されていて、とにかく男女の二人は既に死を覚悟した「愚痴と世迷い言ばかり」で浄瑠璃の中にも「これほど陰気な物はあるまい」という気持ちを失わずに太夫は語るべきであり、三味線はその反対にむしろ陽気な浮き立つような調子で弾いてこそ、この一段の芸が成り立つのだという団平の解釈は蓋し卓見であろうと思う。その意味では「大坂を立ち退いても」以下のクドキを駒之助師が地味にしっとりと仕上げたのは正解ながら、寛也の三味線はここをもっと思いきって派手に聴かせても良かったのではないかという気がした。何しろ自分が主宰する会なのだから。もっとも駒之助という大先輩の名人を相手にそれをするのは、なかなか勇気の要ることでもあろうけれど(^_^;


コメント (3)


三味線と言えば、漫画で恐縮ですが、講談社・ましろの音ご存知ですか?。面白いです。琴で面白いのが、集英社この音とまれ です。

漫画馬鹿で趣味も偏るのでご存知かも知れませんが、銀の匙も面白いと思っていたのに、入れそびれていたので勇気を出し入れてみます。

投稿者 nao : 2018年04月08日 23:01

nao様へご参考まで

月刊情報誌「邦楽ジャーナル」2017年11月号(370号)
特集「人気上昇! 和楽器漫画とゲーム」

月刊情報誌「邦楽ジャーナル」2017年3月号(362号)
「この音とまれ」のイラストが表紙になっています。
作者のアミューさんのロングインタビューもあり。

投稿者 白菊丸 : 2018年04月12日 16:35

白菊丸さん、ありがとうございます(^^)。

本屋に言ったら探してみます。 ん?でもバックナンバーで探さないと本屋にはもう並んでないかもですね・・・。

投稿者 nao : 2018年04月14日 01:09

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