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2018年03月20日

雑感 宝塚花組公演「ポーの一族」

タカラヅカの舞台とは滅多にご縁がないワタシだが、今回はこの作品の原作者萩尾望都さんではなくて、脚本演出の小池修一郎氏からお誘いを受けての観劇と相成った。小池氏とはワタシが松竹社員だった頃からの旧知の仲で、まだ当時ダンサーだった宮本亜門氏と3人で語り明かしたことも早や 4 0 年近くも前の話になるのだろうか。小池氏とはその後もときどき連絡をもらっていたが、昔から「ポーの一族」を上演したいという夢を聞かされていた覚えはあって、念願ようやく叶った公演だけに有り難くお誘いを受けることにし、折角なら萩尾さんとご一緒したかったのだけれど、お互いの日にちが合わず、小池氏にお一人でいいのですか?と訊かれながら、とにかく今日お昼の公演に単独で劇場へ押しかけたのでした(^^ゞ
それにしても松竹社員だったワタシにとっては日比谷界隈からして完全なアウエイ空間であり、アウエイ感満載の新装東京宝塚劇場の前から四番目のど真ん中の席で、おまけに隣の席にはなぜか桐野夏生さん ^_^; 編集者を連れた桐野さんにもお一人ですか ? と訊かれて、こういう時はやっぱりだれかを誘うべきだったのかも(v_v)という気持ちに。タカラヅカを誘って歓迎するような人が周りにゼンゼン思い当たらなかったし、観たくもない人がチケットを横取りしたらファンに申し訳ないからワタシは独りで行ったのだけれど、実際に観た結果、ああ、これならだれかを誘えば良かった!と思うほど舞台としての水準が高い作品に仕上がっていたのは何よりでした。そもそもタカラヅカの舞台を少しは観たのが大昔で、大地真央が新人公演で光源氏を演じた時とか、天海祐希の引退公演とかしか観ていないワタシだからして、最近の他の宝塚歌劇とは比較のしようがないのだけれど、今回久々に観て驚いたのは装置衣裳等の舞台美術が昔とは段違いにシックな感じでまとめられている点だ。宝塚でもプロジェクションマッピングの導入が舞台美術を大きく変えたところもあるのだろうか。あるいは今回の作品では望都ワールドを損ねないよう、舞台美術に細心の注意が払われたということなのかどうか。正直ワタシは昔のタカラヅカの美意識にはちょっとついていけないものがあったので、今回の舞台はその悪しきイメージを払拭していた点で極めて受け容れやすかったのである。
「ポーの一族」も大昔の大学女子寮時代にまわし読みでそれも連作の途中からざっと目を通していたくらいなので(いわゆる熱心な望都様ファンはワタシよりかなり下の世代の方々です)今回この舞台を観て、ああ、最初はこんなドラマチックなお話だったのか〜と思ったくらいだから(途中から読んだ人間にはもっとスタティックな印象でした)これまた原作と脚本の比較のしようがないのだが、成長ができないまま時を超えて永遠に生き続ける者の孤独にテーマを絞り込んで、後半でいっきに悲劇的シーンを畳み込んだ展開は観る者を飽きさせず、時空を超えて現代の学園に辿り着いた二人のラストシーンには少しほろっと来るものがあった。歌詞もまたテーマをわかりやすく盛りあげる効果的なフレーズが使われていたように思う。何よりエドガーとアランを演じた二人の風貌や佇まいが原作のイメージを損ねず、さまざまな姿態に原作の趣を活かしていた点が大きい。ペテラン勢も充実の演技で舞台を盛りあげ、定番フィナーレに至るまで堪能させてもらいました。


コメント (2)


すごい!宝塚の『ポーの一族』、私も見たいです。wowowの宝塚プルミエールでやってくれないかな。
望都さまでは、『11人いる!』が内容もわかりやすくて面白かったけど、何よりタイトルのつけ方が秀逸だと思いました。「11人いる!」なんて、うまいわぁ。

日比谷にアウェー感というのが、面白いです。
でも、昭和初期までは、新橋寄りの資生堂パーラーがある辺りが銀座の中心だったということですから、東銀座の方が本来の中心地には近いのかな?
戦後、GHQ本部が第一生命ビルにあって、その隣りでお給料を受け取った米兵たちが、PXだった和光でお買い物するというのが、毎週あったので、その通り道、有楽町から銀座四丁目交差点辺りまでが、すごく繁盛したんだとか。一番お金持ってる集団が移動するルートが銀座の中心地になっちゃったというのは、わかりやすいです。

全然、話違いますけど、朝ドラをご覧になってますか?
あの芸人さんたちの名札の一覧がよく見ると楽しいです。いつだったかイノッチが、「あの芸人の名前がいろいろ面白いんだよ」と言ってから、私も注意して見るようになりました。
今日の回では、その名札が仕舞いこまれてしまって淋しかった。
昨日の回で見た時に、「うつつ夢二、駒熱」と並んでた。
こまねつ?
これは友人によると、「別を「べち」と読んだり、字の訂正をする時に元の文字が読めるように消すのを「見せ消ち」というから、駒熱で「こまねち」と読むのだろう」ということだった。
コマネチ!
そうかぁ。

投稿者 せろり : 2018年03月21日 10:53

今朝子様「ポーの一族」ご覧になられたのですね!
萩尾望都様とご一緒にご覧になられるのでは?と思っておりました。最近とみにチケット入手が難しくなり、職場の方のお誘いで旅行会社ツァーで大劇場(村)にて観劇いたしました。

この日は大阪?の高校の観劇日とかでバスが20台近く。団体がこれだけ・・・とあまり期待していなかったのですが、今朝子様のおっしゃる通り、原作を裏切らず満足!! ただ、全体にストーリーの解説が多く 場面転換が早いけど仕方ないかな~と話しておりました。
ただ終演後、男子高校生がプログラムを友人から冷やかされながらも購入してたこと。
なんだか嬉しくなった私です。

反対に、京都劇場での「オペラ座の怪人」は銀行の貸切公演。こちらは音響が悪いのか、セリフが入ってこず、場内もシラ~とした雰囲気。盛り上がりにかけていて、職場の方と「貸切(年配の方多数)」やはり客席の盛り上がり大切だねと話しておりました。

投稿者 karo : 2018年03月22日 08:14

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