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2017年11月09日
桜の園
10/9はシアターコクーンで串田和美演出「24番地の桜の園」を観る前に近所の旧松濤カフェで食事。
24番地はシアターコクーンの所在番地で、要するにシアターコクーン版という意味らしいが、中身は結構ちゃんとしたチェーホフの「桜の園」。この芝居は今まで色んな演出や配役で何度も観ているわりに、これが正解!という記憶がなくて、今度も余り期待はしなかったのだけれど、意外にこれは一つの正解かもしれないように思えた舞台である。チェーホフ自身が「ヴォードビルを書いた」つもりと語った本作を解体し随所にリフレインを取り入れながら他のテェーホフ作品を交えて再構成した脚本は何組かのコント風に展開してセリフを普遍的に且つ象徴的に伝えることにある程度成功している。チェーホフに登場する人びとは、一つの時代が終焉しあらゆる価値観が崩壊する中で、他者と関係するよりも自らの内側に閉じこもって生き延びる方法を選択し、今わたしたちはそれが実感できる時代を再び生きていることに改めて気づかされる舞台でもある。たとえば「桜の園」を逐われるかつての特権階級が現代の難民にも重ねられるビジュアル的な処理はいささか牽強付会とはいえ、チェーホフの同時代性をわかりやすくもさせている。農奴出身で経済的に成り上がって貴族の地主から土地を買い取って狂的に昂奮するロパーヒン(高橋克典)がまるで現代のトランプみたいに見え、片や小林聡美扮するリューバ(従来はラネーフスカヤ)がひたすら内省的に描かれるのも面白い。リューバの兄レオニード(従来はガーエフ)を演じる風間杜夫に存在感があり、万年大学生ペーチャ(従来はトロフィーモフ)の八嶋智人、や池谷のぶえが達者なところを披露している。
コメント (1)
全く違う内容で申し訳ありません。8日MBSちちんぷいぷいのコーナーで祇園川上さん放映ありました 大将はじめスタッフさんステキでした。一度はお邪魔したいと憧れております
投稿者 高姓 久美子 : 2017年11月10日 14:25