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2017年10月05日

かつ煮定食

新国立劇場でJ・ジロドウ作・栗山民也演出「トロイ戦争は起こらない」を観る前に近所で食事。第二次世界大戦突入の直前に書かれたこの戯曲は同時代の雰囲気をギリシャ神話のトロイ戦争開戦前夜に仮託して、たとえば「戦争は人間を平等にするための最も浅ましく最も偽善的なやり方だ」といったような皮肉且つ象徴的なアフォリズムの集積で成り立つ作品であり、この作品をこのキャスティングで上演するのはちょっと無理かも?と案じられた通りの出来だったので多くは語るまい。ただしアンドロマックの杏は健闘しているし、オデュッセウスの谷田歩もちゃんとセリフを聴かせた。栗山演出は常に手堅い印象だったが、この作品に関しては根本的に解釈が違うのか、劇詩人といわれる作者のアフォリズムに充ちたセリフを屹立して聴かせる静謐さが一向に感じられない舞台であった点に疑問が残る。ところで幕間には隣座席の演劇評論家某氏からカズオ・イシグロのノーベル文学賞受賞のニュースをお知らせ戴き、「わたしを離さないで」の舞台版や映画版について何かとお話していたのでした。


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