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2017年01月20日

木ノ下歌舞伎 隅田川 娘道成寺

1/19夜は駒場アゴラ劇場で木ノ下歌舞伎公演「隅田川」「娘道成寺」を鑑賞。今回は舞踊演目二題で、両作品に対する取り組み方は180度違うが共に刺激的な面白い舞台である。
「隅田川」まず隅田クルーズの解説スタイルで伝説の舞台へと導き、昭和歌謡風のメロディーソングを船頭がコミカルに歌いながら伝説を物語る前半のシーンと、子供を喪った母の心情を掘り下げてさまざまにイメージシーン化した後半とを、振付・主演の白神ももこが独りでガラッと変えて演じるのが見せどころ。舞踊家としては上半身の動き、ことに上腕部を使った動きが素晴らしくて都鳥が俯瞰するイメージシーンが実に美しかった。
片や「娘道成寺」は長唄をまんま使ってそれに合わせたフリで展開する。ただし歌舞伎舞踊のフリはほんのわずかに取り入れてはいるものの、ほとんどはきたまりがオリジナル振付で主演し、これが「スゴイもん見ちゃいましたね〜」と同行した現代人形劇センターの塚田理事長を唸らせたものである。概ね歌詞に当てたフリなのだけれど、塚田さんが「こんなにいい歌詞とは思わなかった」といわれたくらいに一つ一つの詞がくっきりと立ち上がってくるようなビビッドな振付がなされ、たとえばチンチリレンの合方の狂的にダイナミックなフリと恋の手習いの心理的スタティックなフリなどがみごとに切り替わってゆくから少しも見飽きない。むしろ曲が知られているだけに次は一体どんなフリが繰りだされるのだろうかと見る側がグイグイ引き込まれてゆくし、同じ曲調の中でもシャープに切り換える動きがあったりして面白く、豊かな顔の表情がまた歌詞の思いを繊細に伝えてくれる。とにかく全体にいわゆる息が詰んだ集中力のある舞踊で見応え十分だった。


コメント (2)


木下歌舞伎、ちょうど明日観劇の予定です。終演後の木下さんのレクチャーも楽しみにしているのですが、タイミングよく松井先生の解説を読ませていただけて、ラッキーと思いました。歌舞伎舞踏は、歌舞音曲の素養もないミーハーの歌舞伎ファンとしては、表面的な理解で終わるかなと思っていたので、明日が楽しみです。今日は、演舞場の昼の部「双子隅田川」を観ましたが、6歳の新右近ちゃんのしっかりとした歌舞伎の演技には、まったく恐れ入りました!!

投稿者 順子 : 2017年01月20日 21:33

今年初めての書き込みです。今回の木ノ下歌舞伎、舞踊が苦手な私には、前衛舞踊にも見えて、どう受け取ったらいいのか、当惑しながらも、曲に集中したので娘道成寺の詞章をこれほど意識したのは初めてで、非常に興味深かったです。日舞を習っていた歌舞伎通の友人は受け入れ難かった様ですが、私は珍しいモノを見せてもらい、又しても木ノ下歌舞伎の面白さにハマった気がしました。キノカブ「黒塚」映像を見た後の今月の演舞場「黒塚」も、より深く見えて、5月の「四谷怪談」全通しが非常に楽しみです。

投稿者 ウサコの母 : 2017年01月20日 22:40

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