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2016年12月01日

ヘンリー四世

今日は午後から新国立劇場でシェイクスピア作・鵜山仁演出「ヘンリー四世」を第一部二部通しで観劇し、インタバルには翻訳家の松岡和子さんと近所で食事しながら、もっぱら馬バナシをしておりました(^^ゞ写真は劇場の近くで見かけた可愛らしいクリスマス犬(^◇^)
「ヘンリー四世」は一部二部を併せてコンパクトにまとめた蜷川演出バージョンを観ているが、今回は長時間かけて全体をきっちり上演し、この戯曲の構造的な面白さをよく伝えている。「王権の奪取と委譲」をテーマにした正統派史劇であるにもかかわらず、本筋とは余り関係のないフォルスタッフと彼を取り巻く道化キャラの活躍する「世話場」の比重が大きすぎて、喜劇に分類してもいいような作品に仕上がっているのがまずユニークなところだろう。「王権〜」が表のテーマとすれば裏テーマは「裏切り」で、子が父を裏切り、父が子を裏切り、敵を裏切り、友を裏切るシーンがそれぞれこんなにもくっきりと印象深く描かれた芝居も珍しいように思う。表のテーマを担った主人公ハル王子は世話場に盛んに登場して裏主人公ともいえるフォルスタッフと交流し、ハル王子がフォルスタッフを裏切って両者が断絶したところで初めて史劇が完成されるという非情なラストの展開は、数あるシェイクスピア作品の中でも傑出した構造といえるのではなかろうか。ともあれ今回の上演ではいずれも「裏」のほうが面白く感じられて、中でも裏主人公フォルスタッフを演じた佐藤B作は、失礼ながら、この人ってこんなにちゃんとした芝居ができるんだ!といささか驚いたくらいの好演ぶりだし、彼を取り巻く道化キャラの綾田俊樹やラサール石井もよく起用に応えている。ヤンキースタイルでハル王子を演じた浦井健治も健闘してはいるが、彼と対決するホットスパーを演じた岡本健一がよりインパクトの強い存在感を発揮していたように思う。


コメント (1)


 岡本健一さん注目します。縁は異なもの読みました。一番印象に残っているのは利助という名前が出てきたことです。私の祖父の名前であるので何か嬉しい。他も色々感想を入れたかったのですが、一回失敗したのでこのくらいで、料理通異聞の増刷が嬉しいです。妙なファン心理ですがへっへっへ私は初版を持ってるぞ!と胸を張ってしまいます。歌舞伎関係は読みたいけれど今のところ子どもに触られたくない所や美しく保ちたい所を理解して貰えないので汚されるのが嫌さにきちっと整理整頓してからの楽しみにします。

投稿者 nao : 2016年12月02日 21:11

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