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2016年11月07日

軽井沢行2016

週末に北軽井沢の乗馬クラブを訪れたのは、そこでお世話になったインストラクター石田真理先生の一周忌に遅ればせながら馳せ参じたためで、クラブハウスに設けられた祭壇にお花をお供えして心より御冥福をお祈り申しあげた。真理先生は馬場馬術で国体優勝し、日本全国エンデュランス第五回大会でも初出場初優勝を遂げるなど極めて優秀な乗り手であり、騎乗中はどんな馬でも何が起きるかわからないので決して油断しないよう常日頃よく注意なさっていた方だったから、昨年落馬事故死なさったことを知った時は自分でも大変なショックを受けたし、ご遺族にも一体どう声をかけていいやらわからない気がして、供花のみでお葬式には伺わず、毎夏訪れていたクラブにも今年はさすがに足が遠のいていたのである。ところが旧クラブで親しくしていた高校生のナッちゃん(今はもう立派な社会人)から Facebookを通じて連絡をもらい、一周忌に合わせて伺いませんかとのお誘いを受けたのだった。
ナッちゃんはたまたま大学生時代に当クラブでアルバイトをしていて、社会人になって初めて家族と一緒にここで外乗をした際に目の前で真理先生が落馬。先生は現場からヘリで病院に搬送され、ナッちゃん自身は逃げだした馬の後を追って厩舎に連れ戻すなど迅速且つ適切な対応を取ったものの、先生は意識が戻らぬまま虚しく旅立たれたという、想像するだに大変な経験を、高校生の頃からオトナだったナッちゃんらしく淡々と物語られたのだった。何匹かの犬が自転車につながれて向かって来たのに驚いた馬が瞬時に逆走しようとして舗装道路で滑ったことによる事故だったらしく、誰が悪いわけではなくても、人が亡くなるとその場に居合わせただけでも罪の意識のようなものに苛まれるから、社会人になったばかりのナッちゃんにとっては過酷な試練だったと想像される。
私は去年の夏の終わりに訪れた際、こういうことになったからより印象深く想い出されるのだろうけれど、真理先生といつになくしみじみ話した憶えがあって、「毎年、松井さんが現れないと夏が終わる気がしませんよ」と言われ「今年は秋にも伺うつもりですよ」と言い返して、結局それが果たせなくなったのが無念だった。
今回遺されたお嬢さんやご夫君の興平先生とお会いしても、最初はほとんど何も申しあげられず、それでも「松井さんに来てもらって良かった」と最後に言われたのが有り難く思えた。クラブは新しい男性のインストラクターが増えて順調に運営されているようだったし、好天に恵まれた週末とあってレッスンも盛況で、私もお馴染みの子に乗らせてもらい、「松井さん、見ちがえるように上手く乗れるようになったね」と興平先生に賞められたので馬場馬術専門のクラブに移籍した話をし、そもそも馬場馬術に関心を持つようになったのは真理先生が障害を含めて色んな競技にチャレンジした結果、「やはり馬場ほど奥が深くて面白いものはありませんよね」と仰言ったのがきっかけだっただけに、今こそ真理先生にやっといろいろ教われる段階の第一歩を踏みだしたところかもしれないのにと思い、返す返すも残念でならない。とはいえ故人から少しでも教わったことを活かすのが、生きている者の務めだと思い直して今後も乗馬をちゃんと習おうと心に決めた次第である。写真は快晴の青空の下、くっきりした浅間山を背景にしたクラブの様子。クラブ周辺の田園風景。折しも紅葉で賑わっていた軽井沢の風景とカラマツの紅葉ならぬ黄葉。



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