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2016年09月16日

マームとジプシー

さいたま芸術劇場で演劇集団「マームとジプシー」の公演を観る前に大宮ルミネ内で食事。
気鋭の演劇人、藤田貴大の作品を初めて観るに際しては、旧作の『クラゲノココロ』『モモノパノラマ』『ヒダリメノヒダ』の三本を一つの作品に再構成した今回の公演を敢えて選んだのだけれど、本来バラバラの作品だった時の舞台には想像が及ばないくらい、一つの完結した世界が成り立っていたように思う。地方の中学校を舞台に人間を含めての生き物の生と死にまつわる記憶が日常的な会話体と詩的なモノローグにより一瞬一瞬の風景として繰り返し紡がれていくなかで、若い心の痛みを伝える手法は鮮やかだし、棒読みに近いほど抑制をきかせて淡々と語り続ける女優陣のセリフにも胸を打つ切実感があった。人間そのものが今や生き物として赤裸々に淘汰される状態にあることを嫌でも実感せざるを得ない今の若い世代にとっては、真に切実なテーマを扱ってもいるはずだし、若い頃は誰しもが持つこうしたナイーブな感性を想い出させる点でも「記憶」が重要なモチーフとなる作品といえそうだ。


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