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2016年08月14日
歌舞伎座8月公演 第2部
歌舞伎座のサイトを見た時点だと第2部は完売状態でチケットが入手できず、松竹の方の手を煩わせるのも面倒なので諦めていたのだけれど、その後もPメディアの三村さんがサイトをチェックして下さっていたおかげで何とか今日のチケットをゲット。満員の場内で結構いい席で観ることが出来たが、眼目の『東海道中膝栗毛』は正直そう無理して観ることも無かったかな〜という感じである。弥次喜多が旅立つまでは瓦版の読売屋のオトコ文春(ブンシュンではなくフミハル)が狂言回しとなってSMAPの解散まで含めた時事ネタをちりばめながら超スピーディに展開するのはなかなかの手際と見たが、全体にくすぐりとスペクタクルなアクションばかりで構成され、そのスペクタクルも本水にしろ、二人宙乗りにしろ、もはやさすがに新鮮みは乏しいし、女形の洋装も「ワンピース」を観た目にはさほどの衝撃はないのだった。ただ今や歌舞伎も売り先をグローバルに展開しなくてはならない時代の反映として、ラスベガスのシーンで「石橋」が登場した時は、先日大島さんが「リオ五輪の開場式がサンバなら、東京の開場式には海老蔵以下歌舞伎の若手全員で獅子の毛振りをさせるしかないでしょ!」と話したのを想い出したものである。染五郎の子と猿之助の甥っ子の成長ぶりを見せる芝居にも一応なっているのだが、隣席の会話をちらっと小耳に挟んだら野田版「鼠小僧」や「研辰」の名が挙がっていたので、その手の客層を相手にするなら、いくらスペクタクル本位にしても、もう少しハートウォーミングにドラマチックなシーンが欲しかったところだろう。もっともラストで染五郎演じる弥次さんの宙乗りは相当にアクロバティックな奮闘振りで観客を大いに沸かせており、舞台事故で一時心配されたこの人の健在ぶりをしっかりアピールした恰好だった。切りの所作事「紅勘」はちょっと珍しい演目で、「乗合船」などと同様のパターンだが、芝翫襲名を控えた橋之助が今やこの座組では完全に「上置き」の位置になってしまったことが実感される舞台だった。