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2016年06月16日

「なべ家」最後の宴

大塚にある江戸前料理の名舗「なべ家」が閉店する話は聞いていてとても気になっていたのだが、先週新潮社の小林姐さんを通じて、今日で本当に店仕舞いという最終の宴にご招待を戴いたのは有り難い限りである。江戸料理研究家としても名高い店主の福田浩さんは新潮社のトンボの本シリーズで「豆腐百珍」や「大江戸料理帖」などの名著をものされ、私は「江戸の献立」でお付き合いをさせてもらった関係で、「豆腐百珍」等のカメラマン松藤庄平さんや担当の金川さん、姐さんともども美味しい料理をたっぷりご馳走になりました。皆さまがアタマに来られることは承知の上で、口福のお裾分けを写メでしておきますσ(^◇^;)
最初の写真は店の外観。次はいかにも「豆腐百珍」にありそうだが無い「豆腐粥」。三番目は鯒(こち)の刺身ウニ添えで煎酒に浸けて食す。四番目は鮎の塩焼きで鮎は郡上産。頭から骨ごとバリバリ食べられました。五番目は鮎雑炊でお出汁が絶妙の味わい。他に氷こんにゃくや海老の煮物、鮪のヌタ、蓴菜、そら豆と鰯の丸干し等々を美味しく戴き、最後のデザートは例の如く玲瓏豆腐で、これが食べられなくなるのは実にザンネンです!と福田さんに言ったら、こんなものは簡単なんで言われたらいつでも作りますよとのこと。昭和10年生まれの福田さんはまだまだお元気なのだけれど、後継者がいらっしゃらないせいもあって、同じく10年に誕生した築地市場が豊洲に移転する今年に店仕舞いする気になられたらしく、「移転を機にいい仲卸がみんな廃めちゃうってのもあるんですよ」と言われたのが何やらしみじみした響きに聞こえました。今後は江戸料理研究家として店を離れて自由に包丁や筆を振るってほしいと思うのは、私が『料理通異聞』を書く際にも福田さんから伺った江戸料理の調理法をずいぶん参考にさせて戴いているためで、今年の9月に出版される話をしたら「是非そのお祝いをしましょう。柳橋の天ぷらで大黒屋にお連れしますよ」と仰言って戴いたので、胆石手術の回復が何とか早まるよう願いたいものであります。


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