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2015年09月10日
八百善再訪
帰宅後すぐにTVを点けて鬼怒川決壊の映像に愕然としたが、今度の台風は北関東の被害が大きかったようで、南関東の鎌倉は土砂災害の警戒すらなかったような話をタクシーの運転手さんから聞かされた。とにかく一口に関東といっても広い!のは、こんな日でも鎌倉駅で降り立つ観光客は大勢いて、八百善さんは何組ものお客様で賑わっていたのである。
地方紙に連載している『料理通異聞』の単行本化に当たっては、取材に大変なご協力戴いた八百善の当代ご当主に出版を手がける幻冬舎のヒメともどもご挨拶に伺う予定を今日にしていて、台風がひどければ当然延期するつもりだったのだけれど、そんなわけで鎌倉も私の住む大宮もふつうに雨が降っている程度だったので、お昼は予定通りご挨拶かたがた八百善での会食と相成った。台風だと時化で魚の入荷も心配されたが、なんのなんの三浦海岸には時化の時こそ高値のつく魚を捕りに出かける「命知らずの漁師がいて、今日捕ってきたイナダです」と出された向附のイナダの酢味噌掛けが実になんとも美味しかったこと!「江戸っ子はイナダが鯉に味が似てるってんで好んだそうですよ」とのお話も面白く頂戴した。蛤水蟾の椀盛や、秋刀魚の有馬煮、ぎんぽと海老の揚げ真薯、蒸し名残茄子の海老あんかけ、茶碗蒸し、栗ご飯、きんとんと花豆のデザート、どれもシンプルにして素材の旨みを活かした料理が想った以上に美味しく戴けたのは何よりで、鎌倉でのオープン三年目にしていよいよスイッチが入った感じなのかもしれない。器や調度類で目の贅沢が出来るのもここならではで、今日も酒井抱一や大田蜀山人や松花堂昭乗の書画がさりげなく飾られていた。従って単行本の装幀に関しては材料が豊富に過ぎて編集を担当するヒメも嬉しい悲鳴状態だし、出版に際しては八百善さんのご協力を戴いて何らかのイベントを企画してもいいような話をしていて、その場で八百善の料理を振る舞うのは無理としても、お土産に持ち帰れるような品を作って戴くという手はありそうだけど、「でも、イベントに来た方にはちゃんと本を買ってもらわなきゃダメだよね」「そりゃお土産だけ持って帰るのはナシですよ〜」とのことでした。
コメント (3)
新刊「料理通異聞」にちなんだ「八百善」の企画、ぜひ実現させて頂きたいです。6月の講演会以来、鎌倉の八百善に行ってみたいと思っていますが、1人では少し敷居が高い気がして…。こうしたイベントなら、またお話が聞けてお料理も試食できそうで、だいぶ先になるかもしれませんが、ぜひともお願い致します。
投稿者 ウサコの母 : 2015年09月11日 21:13
はじめまして。
愛知県に住んでいますが家電を買った時にクッション材として使われた大分の新聞をみて料理通異聞を知りました。
本を全く読まない人間でしたが、まずなぜかいずみさんの絵に惹きつけられ、文を読んでみたらすごく面白く、小説ってこんなに面白いんだと思いました。文章オンチな私が小説を読みたいと思ったことが自分でもびっくりしています。
続きを読みたい!と探しましたが、本にはなってないんですね( ; ; )
「料理通異聞」はいつかは本になる予定はあるのでしょうか。
ぜひ本の検討をお願いします!!
投稿者 りょう : 2015年09月12日 10:47
りょうさまへ
「料理通異聞」は単行本として来春刊行されますのでよろしくお願いします!
投稿者 今朝子 : 2015年09月13日 06:40