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2014年09月22日
牛肉と蓮根と茸の甘辛炒め
前にQPで見た料理。酒醤油で下味した牛肉にカタクリ粉をまぶして炒め、いったん取りだしておく。拍子木切りにした蓮根を蒸し炒めにし、生姜の千切りと椎茸を炒め合わせて塩で調味し、肉を戻して万能ネギを加え、酒醤油ケチャップ蜂蜜胡椒ゴマ油カタクリ粉を合わせた調味料で味付け。
その昔、昭文社の旅行ガイドブックを何冊か一から手がけた経験が私にはあって、ロンドンに通算2ヶ以上滞在し、現地コーディネーターとして大変お世話になったのが昨日、四半世紀ぶりにお会いした早苗.Gさんで、彼女を紹介して下さった現在松竹在籍の前川さんには「それが松井さんによく似た方なんですよ〜松井さんもホントは早苗さんみたいに海外で暮らすほうが向いてるんじゃないかと思って」と言われたのをよく憶えている。これまた昔に作家の富岡多恵子さんから「あんたは日本人じゃないみたいなしゃべり方をする人やねえ」と言われた覚えもあって、要するに私は意外にも時候の挨拶から始まるような日本的なまだるっこしい会話がとても苦手な人間で、率直に一つのテーマを突っ込んで話さないと実はあんまり話したような気分にならないタイプなのであった。
早苗さんは当然ながら半分くらい英語も混じる日本人じゃないみたいなしゃべり方しかしない方なので、久々に会って懐かしいとかいう情緒的な挨拶は一切抜きで、話題はいきなりスコットランド問題に突入した。彼女の口からはスコットランドとイングランドの歴史が滔々と語られ、スコットランド人の郷土愛がいかに強く、また近年は医療と教育の分野で独自の路線を歩みつつあったにせよ、今回は英国の与党ばかりか野党を含めた四党首がこぞって独立に反対したのは、何もかもあまりにも準備不足だったからで、単に感情的な気運の高まりだけで独立しなくて結果的に大正解だったという説明を受けた。
スコットランドは社会福祉の充実を目指す方向に舵を切りたいらしいという報道が日本ではなされているので、英国の社会福祉はそんなに悪くなったのかと思いきや、早苗さんは自分の年金と亡き夫の遺族年金を併せた額がなんと年を追う毎に増額し!死ぬまで悠々自適の人生が約束されて、病気になっても入院、手術、クスリ代が全部タダ(!_+)というのだから、やっぱり保守党になってもユリカゴから墓場までの社会保障はちっとも揺らいでいないらしいのであった。日本の社会保障のお粗末さを訴えた私は「日本には本当に政治があるんでしょうかねえ?」と言われ、「議会制民主主義は人間同士がきちんとした会話をできるのが基本だと思うんですけど、日本人は日常でそれのできる人が少ないから、結局、その種の政治は無理なんじゃないかと思って」と答えたら「ああ、確かにそれは今朝子さんの仰言る通りだわ!」と大いに賛成されたというのも如何なもんでしょうか(-.-;)y-゜゜
現在70歳になられた早苗さんはネットもよく使いこなされており、拙著「師父の遺言」もアマゾンでゲットされ、私のHPもご覧になって、カメ好きなのもよくご存じで、なんとスワロフスキー会員限定版のカメの置物をお土産に頂戴したのは大感激だったが、武智先生のことも活け花に関する著作でよくご存じだったのには今回ビックリさせられたものである。
若い頃は日本で学生劇団にも所属したくらいの芝居好きで、現在はロンドンを離れシェイクスピアの生地ストラッド・アポン・エイボンにお住まいだと伺ったので、蜷川さんと会う機会があったかどうか尋ねたら、通訳の手伝いに参加したこともあるし、芝居に感激してサインをもらったこともあったのだとか。『タイタス・アンドロニカス』上演の際には現地の演出家による別バージョンとの競演になり、英国人の大多数が蜷川演出を支持したのだと教えて下さり、吉田鋼太郎の同級生だという英文学者の末松美知子さんのことはよくご存じだと仰言るから、翻訳家の松岡和子さんとも接点があるのかどうか訊いたところ、残念がらいまだご縁はないのだとか。「でも私はあの方の翻訳が一番好きなんですよ。なぜならあの方はverseとproseをみごとに書き分けて、その書き分け方が本当に巧いんですよ。私は福田恆存さんの訳も好きだったんですけど、福田さんはその区別をつけずにズルズル訳してらしゃるし、小田嶋さんはちょっと遊びすぎてらっしゃる感じだし、その点、松岡さんの翻訳は本当に素晴らしいです!」と絶賛された。早苗さんはMAを取得する際にシェイクスピアを原文で読んでらっしゃるわけだけれど、ゴメンなさい、松岡さん、私はこれまで翻訳家としてのお値打ちをそこまでちゃんと存じ上げずにお付き合いさせて戴いておりました<(_ _)>