トップページ > 突然の訃報
2014年08月10日
突然の訃報
「マンガ歌舞伎入門」の作画をしてくださったマンガ家の伊藤結花理さんが今日亡くなられたという知らせに呆然としている。私より若いといっても六つ違いで、結婚もなさっていたのに、永遠の少女のような雰囲気をお持ちの方だったから、亡くなられたことが正直まだぴんと来ないでいる。そもそもは元ミセス副編の福光さんの慶応時代のお友だちで、慶大卒業後に少女マンガ家になられ、「マンガ歌舞伎入門」を手がけられた時はまだ駆けだしの頃だったが、その後マンガ家としての腕をめきめき上げられて、講談社で文庫化が決まった時は、ぜひとも描き直したいと仰言ったのだけれど、それをしだしたら何でもキリがないし、「サザエさん」だって最初の頃のヘタな絵がそのまま出版されてるじゃないかといって、私は止めたのだった。でもご本人がそう思われるのは無理もないくらい、その時に送って来られたマンガは絵が物凄く巧くなられていて、本当に同じマンガ家の絵とは見えなかったのを想い出す。「マンガ歌舞伎入門」の際は私がいわゆるネームを切って渡すという方法を採り、しかも編集者の役割も引き受ける恰好で仕事をしたため、ずいぶんと恩義に感じられたせいか、盆暮れのご挨拶を昨年末まで頂戴し続けており、こちらも年賀状は欠かさず、またお電話は近年までしていたのだが、お目にかかる機会を久しく持てなかったことが悔やまれてならない。人は一体いつどうなるかわからないことをつくづく感じさせられる年代になったというべきか。今は謹んで御冥福をお祈り申しあげるのみだ。