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2014年07月18日
前菜、オニオンスープ、牛ヒレステーキほか
朝日新聞社内の「アラスカ」で朝日時代小説大賞の選考後に会食。
候補作は四作あって「四作とも、今はこのくらいの水準なら、十分どこかが本にしちゃいますよ。それくらい時代小説が沢山出るようになったことを、果たして歓ぶべきかどうなんだか」と縄田委員がぼやかれたくらい出版界は斜陽産業にありがちな粗製濫造に走っているのかもしれないけれど、だからこそ、この賞くらいはそう簡単に受賞者を出さないほうがいいという考え方もありそうだ。ともあれ今回は縄田委員と私の推す作品が異なって、共に欠点があるものの、作り手の年齢を考えると大いに可能性も秘めており、共にほぼ同時代を扱いながら、テイストが全く違うという点も面白いので、両作品を優秀作とし、かなりの書き直しを前提に出版するという形で決着をみた。思えば前回は故山本兼一氏も選考委員でいらしたから、三人寄れば文殊の知恵ではないけれど、二対一というふうに分かれるので一作品に絞りやすかったのは確かである。もっとも意見が分かれたといっても全く平行線で揉めたというのではなく、互いに双方の欠点を十分承知しつつ、その上でどちらの可能性を取るかという判断だったし、両作品とも私自身どちらを推すか最初は迷ったのであった。で、この件に関して興味をお持ちの方は朝日新聞出版刊行の「トリッパー」(九月発売)に載る選評をご覧ください。