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2014年07月07日

トマト・アラビアータのパスタ

シアターコクーンで前川知大作・蜷川幸雄演出「太陽2068」を観る前に渋谷で食事。
太陽に当たると死んでしまう夜型の新人類と従来通り昼型の旧人類に分かれた近未来社会を背景に、理知的に進化した新人類と旧人類の対立を通じて民族問題や都市部と僻地の格差問題など現代社会が直面するさまざま問題を寓意的にちりばめて、人間の本質とは何か、果たして人類に未来はあるのかといった壮大なテーマをごく日常的なセリフで展開する前川戯曲。これをただ「寓意だけの演劇」にはしたくないという構想とコクーンの舞台をフルに使いたい意図の下、コンパクトにまとまった戯曲を敢えて猥雑に散らすような蜷川演出が、今回は巧く功を奏したのかどうかいささか疑問で、結果的には却って戯曲の観念的な甘さが目立つ印象を受けた。奈落を新人類のエリアとして、舞台を上下にダイナミックに使った手法も客席の位置によっては非常に見づらいものとなっている。
ただし旧人類の若者と新人類の若者が互いの欠点を披瀝しつつ友情を育むシーンは旧人類役の綾野剛が意外にコミカルな持ち味を発揮して達者に演じているし、新人類役の成宮寛貴とのからみも悪くないので綾野ファンは必見かもしれない。前田敦子は松也ファンが結婚をゼッタイ阻止したくなりそうな演技に留まっている。


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