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2013年05月03日
キャベツの酢豚風炒め
QPのレシピ本で見た料理。この時期たくさん食べたい春キャベツ料理のバリエとしてオススメ。キャベツと玉ネギ、ニンジン少々を先に炒めて塩胡椒し、いったん取りだしておき、生姜の薄切りと塩胡椒で下味した豚肉を炒め、合わせてからケチャップ、砂糖、醤油、酢の合わせ調味料に水溶きカタクリ粉を混ぜたもので味付けする。NHK「にっぽん紀行」を見ながら食事。認知症の初期段階にあって自分がご飯を食べたかどうかもわからなくなり、六十年来の弟子の顔さえときどき忘れてしまう日本舞踊の先生が、踊りの振りだけは完璧に記憶していて、その弟子に支えながら踊りの稽古をまだ続けているという、まさにスズメ百までを地で行くようなドキュメント映像に驚きと感動を覚えた。人間の記憶って一体どんな構造になっているのか不思議で、自分もそろそろ不安を覚える年頃だけに、何だか身につまされるものがありました。
ところで今日は忘れちゃいけない憲法記念日とはいえ、これまでは憲法なんてふだんほとんど意識せずに暮らしてこられたのは実に有り難いことだったのかもしれない。一方には何が何でも更改したかった人たちがいて、着々と準備を怠らなかったわけで、その人たちにいきなり更改案を突きつけられたら、ほとんど意識しなかった側はただあたふたとして、一言一句のチェンジにまで目が行き届くかといえば、ゼッタイ無理そうな気がするのは、ネットでたまたま江川紹子氏の記事を読んだからである。9条だけではない、さまざまな改変を施そうとしている自民党案を一度キチンとテェックする必要があるのかもしれない。
それにしても私は別に何が何でも憲法を護りたいとか、何が何でも変えたほうがいいとか、身にしみて思ったことは正直一度も無い人間なので、きっとそういう人が多いんじゃないかと思うのだけれど、にもかかわらず、この間の世論調査で憲法を変えるべきだと思う人が急増しているというのがコワイ。それって東京オリンピック招致を望む人が急増したのと同断で、本当にこの種の世論調査が今の世の中をどんどん悪くしてるんじゃないかという気がするくらいである。たとえば最初から憲法を変えたいと思ってる自民党のオジサンたちは許せても、自分で方向を見ずにただ笛吹きの後にくっついてぞろぞろ歩いてるだけの人たちは困ったもので、そういう人たちは崖から海に落ちて死んじゃっても構わないようなものの、こっちまで巻き添えを喰うのは避けたいので、本当にその手の人たちをどうしたらいいかという問題をいつも考えてしまうのだった。
もっとも憲法の問題を、日本人がなかなか身にしみて感じないのは何も今の憲法が進駐軍に押しつけられたからではなくて、戦前の大日本帝国憲法自体も、日本が西洋的な近代国家に生まれ変わる過程において必要と意識された、いわば借り物文化であったことは否めず、もちろん国内論議も相当に盛り上がった上での憲法制定であったのも事実だが、内側から必要性が湧き起こったというよりも、外を見てどうやら憲法というものが必要らしい、という発想から生まれたものであるのも確かなのである。
西洋の憲法はマグナ・カルタに始まったとされているが、それはやたら戦争をしてその資金集めをしようとするバカな王様に愛想を尽かした人びとが、王様に誓わせた約定だったわけで、つまりは権力者に勝手なことをさせないように縛っておくための掟が憲法の祖型ともいえるのだった。要するにふつうは貴族にしろ庶民にしろ、王の権力に対向する存在を措定するところから国家の形が決まるので、そこから必然的に両者の間の約定としての憲法が生まれるのだろうけれど、日本の権力構造はかなり特殊なもので、歴史的に見てもそもそも絶対的な権力者からして措定しにくいわけだから、憲法も両者の対決姿勢を前提としたものよりも、「和を以て貴しとなす」みたいな歩み寄り路線だったりするほうが実状には合ってたのかもしれない。そんな国で近代憲法の必要性を全員が身にしみて感じるのは無理な話だろうし、今後も身にしみて感じられるかどうかは甚だ不透明ながら、何が何でも更改するという人たちが現れた以上は、こちらはまずその理由をとことん問い詰めた形で賛否を表明するのがスジだろうと思う。笛吹きのあとをくっついてて気がついたら崖の上に立ってた、なんてバカなことだけにはならないように、自らにも周りにも注意を払いたいものであります。
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コメント (1)
私も家族でNHK「にっぽん紀行」を見ました。二十歳の娘が「ええ~。食事するのは忘れても踊りは忘れないのねえ」というのを聞いて、身につまされつつ思わず笑ってしまいました。
投稿者 eguchi : 2013年05月06日 10:57