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2013年02月14日

オイディプス王

さいたま芸術劇場附属の若手劇団さいたまネクスト・シアターは、読売演劇大賞まで獲得した去年の「ハムレット」を見て以来、高齢グループのゴールドシアターに負けず劣らず見逃せない舞台となっていて、今回は荘重なギリシャ悲劇をどう演じるかに期待が持たれたのだけれど、これが意外なほど真っ向勝負の堂々たる力演で、決して小器用に小さくまとまった舞台ではなかったところに、役者としての育ちの良さを感じさせられた。台本もコンパクトなせいか、ダレ場やへたなケレン味もなく、悲劇の核心へいっきにぐいぐいと運ばれていく感じが小気味良い。コロスひとりひとりに三味線を津軽風や浄瑠璃の三重ふうに弾かせているのも違和感なく文字通りのいい効果音として聞ける。今日はオイディプスが小久保寿人、クレオンが川口覚で共に好演だったが、これがダブルキャストのようで、かなり個性が違って感じられる男優だけに見比べるのも面白そうだ。舞台を縦に長く使うことで、ひとりひとりのセリフが他の役にどんな影響を及ぼすかをわかりやすく見せる演出にイオカステ役の土井睦月子はよく応えているし、堀源起演じるティレシアスの役作りがいかにも予言者らしくて頗る印象に残った。


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