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2012年10月24日

ザ・ファクトリー1

さいたま芸術劇場ザ・ファクトリー1さいたまゴールド・シアター2作品連続上演「白鳥の歌」「楽屋」を観る前に大宮ルミネで食事。
平均年齢73歳のゴールドシアターを初めて観た時は、シロウトさんなのに達者な人は達者だな〜という風に感じたものだが、前回はもうゼンゼンそんな感じじゃなくて、それぞれに個性的なプロの俳優さんに見えたので、こうなったら逆に難しい面も出てくるのではないかと案じられもしただけに、今回の井上尊晶演出による企画上演は、この劇団にとって実にタイムリーな戯曲の選択だったように思われた。「白鳥〜」はチェーホフの、「楽屋」は清水邦夫の戯曲だが、共に俳優の日本的にいわば「業」のようなものがバックステージで描かれるのだけれど、今や人生のゴールに近づきつつある中で「俳優」という職業に取りつかれたゴールド・シアターのメンバーだからこその説得力が、それを人間が生きること自体のアレゴリーとして非常に鮮やかに見せてくれた。
本来は男のふたり芝居である「白鳥の歌」12人の男優で、女4人の芝居を26人で演じるという仕立ては、当然ながら割ゼリフの仕方や受け渡しが非常にスリリングなはずなのだけれど、全く危なげなく且つ何ら違和感もなくスムースに進行するのに感心したし、大勢が演じることで生きる意味に対する問いかけを極めて現代風に見せられる点も面白かった。また舞台上に客席を作って文字通りのバックステージを見せるのもこの劇場だからこそできるのであろう魅力的な演出だった。それにしても、メンバーほぼ全員、前回どんな役を演じていた人かを憶えているくらい個性がくっきりと立ちあがり、しかもふつうにセリフがどんどん巧くなっていることに今回も驚かされた。


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