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2012年09月12日
ズイキの胡麻和え、鱧落とし、鯛とメバルのお造り、鱧と松茸のお椀、甘鯛の焼き物、鯛兜の酒蒸し、鯛茶漬けほか
漫画家の萩尾望都さんとマネージャーの城さんとご一緒に池袋芸術劇場の野田マップ公演「エッグ」を観た帰りに銀座の割烹「あさみ」で食事。
豪華キャスティングと椎名林檎の音楽で話題を呼んでいるこの公演。現代の大衆を動かすのはスポーツと音楽だというテーゼに基づくドラマと聞いて、きっとナショナリズムの問題が扱われるのだろうというふうに
漠然と思ってはいたのだが、想像以上に日本の近現代史における闇に真っ向から取り組んだ極めてシリアスな作品だった。エッグという卵を使ったスポーツゲームの起源とオリンピック参加をめぐってストーリーはどんどんとタイムスリップして、時は現代から1964年の東京オリンピックに遡り、さらには戦前の東京オリンピックが中止となった経緯によって日本が建国した満州国における関東軍731部隊の人体実験や生物兵器の製造の事実が暴き出される。つまりエッグは731部隊でワクチンの製造に卵を使っていたところから発祥したスポーツという設定で、これを縦糸とすれば、その部隊で指導的立場にあった医師の身替わりにされる男と彼の妻になる歌姫との心のすれ違いが横糸をなすドラマといえる。ドラマの構成はきっちりしているし、満州国を牛耳るエッグチームのオーナーの娘でかつ歌姫の役を演じる深津絵里も、農家の三男坊で満州国滅亡の際に身替わりで責任を取らされる男を演じた妻夫木聡も、トップアスリートの肉体と最先端医療の現場を担う医師の頭脳を備えた指導者を演じた仲村トオルもそれぞれに魅力的だし、エッグチームのオーナー役の秋山菜津子や監督役の橋爪功は達者だし、ほかにも藤井隆や大倉孝二が個性的な演技で芝居の厚みを増しており、演出面でも装置の使い方やスピーディな転換が大いに評価できるにもかかわらず、観劇後に今ひとつ物足りない感じがしたのは何故だろう?と考えてしまった。やっぱり肝腎のセリフがそれほど書けていないという点が大きいのではないか。野田作品の魅力は抒情的であれ叙事的であれ作品全体のイメージを喚起しさらには突き破るといえるほどのセリフが今回はなかったような気がするのである。とはいえ仲村トオルファンの私は彼の鍛え抜かれた上半身の裸体が見られただけで十分満足だったのですが(^^ゞ
萩尾望都さんとは久々にお会いして、紫綬褒章ご受章のお祝いに「あさみ」へお誘いしたのだが、やはり受賞後はどっとお仕事が増えられたらしく、お忙しいなかで時間を割いてくださった上に、ゆったりとした雰囲気でいろいろと楽しいお話を伺えたのが嬉しかった。手塚治虫氏が紫綬褒章をお断りになった理由は、ご本人が二つほど歳を多めにサバを読んだ年齢詐称がバレるからだったというお話や、「テルマエ・ロマエ」の原作者ヤマザキマリさんご自身からお聞きになった撮影体験談など、漫画業界の話題のみならず、原発問題や地震の話題、さらには尖閣問題にも話が及び「あの島はやっぱりヤギのもんでしょう!」という意見で
城さんと一致しました(^◇^)
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