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2012年04月04日

まほろば

新国立劇場で蓬莱竜太作・栗山民也演出「まほろば」を観る前に近所で食事。
岸田國士戯曲賞受賞の同作品を私は初見だが、今回が再演で配役がほぼ初演通りとあってか実にこなれた舞台だった。登場人物は全員女性で、長崎の旧家を舞台に旧家の嫁という立場に固執する母親、東京でキャリアウーマンになった長女、地元に留まって私生児を産んだ次女、母と同じように私生児を宿してしまった次女の娘、次女が現在付き合っているカレシの娘、若い娘たちの不祥事を意外にやさしく受け入れる祖母といった、いささかステレオタイプの造形だし、子供を産み育てるということをめぐるテーマとその締めくくりに関しては男性作家らしい甘さが窺えるとはいえ、ぶっちゃけたセリフとその軽妙なやりとりは絶妙で、丁寧な演出も相俟って大いに笑わせてもらった。何よりも長女役の秋山菜津子、母親役の三田和代といった芸達者な女優の好演と、祖母役の中村たつがとてもいい味を出していたのもさることながら、子役の大西風香が今どきの少女をさらりと演じて舞台に一番自然に溶け込んでいたのはお手柄だったと特筆すべきだろう。


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