トップページ > キネマの天地

2011年09月05日

キネマの天地

紀伊国屋サザンシアターで井上ひさし作・栗山民也演出「キネマの天地」を見る前に近所で食事。
映画「キネマの天地」の続編として25年前に初演されたことすら知らなかった作品だけれど、初演後ずっと埋もれていたのは不思議な気がするくらい面白い舞台だった。成功の一番の決め手は好配役のプロデュースにあり、井上ひさし没後もこまつ座は健在であることを印象づけた公演といってもよい。
 枠組はバックステージミステリーなのでネタバレになるからストーリーは詳しく書かないが、昭和戦前の映画界を背景にそれぞれ世代の違う4人の看板女優が一堂に顔を揃えて、お互いにパチパチ火花を散らす設定で、そのうちの3人は麻実れい、三田和代、秋山菜津子といった、いずれも芸達者を代表する女優を揃えているのだから、もうそれだけで面白くないわけがないのである。男優もこれまた芸達者な木場勝己と浅野和之が顔を揃え、浅野は体調不良を疑うほど珍しく精彩を欠いたが、木場は一番の儲け役といえそうな活躍を見せている。こうした芸達者なベテラン女優男優に挟まれて若手の大和田美帆、古河耕史がともに好演し、とにかく俳優たちが全員活き活きして見えたのは、全編に流れるテーマが井上氏の俳優論だったからかもしれない。というわけで、オーソドックスな芝居好きの方々にはオススメの舞台である。


このエントリーのトラックバックURL:
http://www.kesako.jp/cgi-bin/mt/mt-tb_kesako2.cgi/2027

コメント (1)


日生劇場で初演を観ましたが、面白い作品ながら
作品と劇場がミスマッチで残念だなあ
紀伊国屋ホールでやったらきっと素敵なのに
という印象を持っていました。
今回はサザンシアターとのことで、適したサイズの会場で
松井先生おすすめの好配役
これはぜひとも観てみたいですね

投稿者 秋失気 : 2011年09月06日 12:57

コメントしてください




ログイン情報を記憶しますか?


確認ボタンをクリックして、コメントの内容をご確認の上、投稿をお願いします。


【迷惑コメントについて】
・他サイトへ誘導するためのリンク、存在しないメールアドレス、 フリーメールアドレス、不適切なURL、不適切な言葉が記述されていると コメントが表示されず自動削除される可能性があります。