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2011年01月10日

紋屋

今季一番の寒さに見舞われた今日はお茶の阪本先生ご姉妹、歌舞伎座(株)の大沼さん、伝統文化放送の前川さんと一緒に高輪泉岳寺そばの「紋屋」で新年会。ここは突出し、お椀、焼物、炊合せといったひと通りの料理が出たあと、富山から直送された新鮮な魚が好みの調理法で豪勢に各自1尾づつ振る舞われるという店だから、それぞれがメバルとノドグロの煮付け、鯛の兜煮、黒ムツと石鯛の塩焼きを注文してシェアする形でお腹いっぱい頂戴しました。
 大沼さんとお会いするのは久々で、折しも休演した勘三郎の体調が心配されるなか、聞けてちょっといい話だと思われたのは檜(ひのき)の話である。檜舞台という言葉は一般にも知られるように、古典的な劇場の建設で何より大切なのは檜の入手である。歌舞伎座の舞台ともなれば、樹齢100年くらいの檜が、なんと千二百本!!!も要るのだそうで、それも同じ条件の下で100年ほど育って木目がきれいにそろった檜でないと話にならない。なので大概は輸入原木を使うことになり、今回も国内調達はおそらく無理だろうとみられていたにもかかわらず、なんと意外に近場の丹沢山系で入手できたのだという。そこは明治30年代に50万本以上の檜苗が植林され、それがちょうど100年ほどたって伐採どきとなり、たまたま去年売りに出されたのだそうで、歌舞伎座の建て替えがもう5年も早ければ輸入に頼るほかなかったところを、ちょうど運よくそれらの国産檜でまかなえることになったのだとか。まだ残りが十分あるので、修理にも困らなくて済むらしい。
50万本以上の苗を植林したというのはビックリだが、密集して苗を植えれば、苗同士が揉まれて芯の硬い良木だけが残されるという仕組みであり、また芯の硬い木を使わないと舞台は良い音がしないのだそうで、これまたなかなか含蓄に富んだいいお話だと思われました。


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コメント (3)


良いお話を知りました。今でも国産の100年物のヒノキが調達できるなんて本当にうれしい事ですね。つけ打ちさんの音がキンと響くのも硬い檜の舞台があってこそです。
お正月から富十郎丈の逝去、芝翫丈の休演、勘三郎丈の入院、お祓いにでも行きたい気分でしたが、なんかホッとしました。

投稿者 お : 2011年01月10日 22:03

歌舞伎座HPで紹介されているので檜材の事は存じておりましたが、タイミングがずれていたら、、というお話はなんというか、まさに「間のいい」閉場、新築だったのだな(あるいは何かの巡り合せ)、とほのかに嬉しくなりました。
http://www.kabuki-za.co.jp/rebuild/news/60

投稿者 ななし : 2011年01月11日 23:52

紋屋のはす向かいの門中で友人がゴダールというカフェやってます。

投稿者 okano : 2011年01月13日 22:33

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