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2010年12月07日

京都行

 めくるめくような2日間のスケジュールを無事にこなして只今帰宅(^_^)/まずアップした写真は上段が最後の紅葉が残る下鴨神社、中段が今ワイドショーで話題の南座、下段が「祇園 川上」の表口。
6日は朝9時に家を出て新幹線を乗り継いでの京都入り。長野・新潟・東北新幹線と東海道新幹線の乗り換えがメチャメチャ楽であることを初体験しました!!!
紅葉情報でまだ見ごろとされる数少ない場所の下鴨神社は妹の住まいに近かったので一緒に見物。ここの紅葉が遅めであるのはどうやら種類が違うためらしく、葉っぱが小ぶりである。みたらし団子発祥の地としても有名なので、しっかり食べました。そのあと南座の真向かいにある「菊水」で両親や叔母と落ち合って会食。この店は父方の親戚にあたります。
南座夜の部の序幕は海老蔵の代演として話題になっているラブリンこと片岡愛之助の「外郎売」。関西では大変な人気役者だから、代演でお客様が却って詰めかけているという状況は興行側にとって文字通りケガの功名というやつだろう。愛之助もよく健闘してはいるが、如何せん、早口言葉が流暢すぎて、観客が拍手をするきっかけがつかめない。ウソでもやっと言えたという雰囲気を出すところがこの芝居の芸の眼目なのだと、ある方を通じて本人に伝えてもらった。
 2幕目の「忠臣蔵 七段目」は当代きっての大顔合わせだから久々に顔見世を見るつもりになったのだけれど、これまた如何せん、各優が最初から丁寧に演じるも、全体として非常に足取り(テンポ)が悪くなっていてあまり感心しない出来である。ことに吉右衛門が大星由良助ならぬ大石内蔵助風にリアルな雰囲気演技でごまかしていて、丸本物としてのツボを完全に外しているのがとても気になった。ラストの締まりが悪いこと夥しく、京都の観客を舐めているのか、あるいは本人の体力不足なのか、今さら何をいっても無駄だろうが、やればできるはずのこの俳優の演技をそのつど厳しく責めてこなかった歌舞伎関係者にも多大の責任があろうと思う。この芝居に関して彼の責任が大きいのは座頭の役だからであり、相変わらず勝手に芝居を面白くしている玉三郎のお軽や、肚の薄いところが却って役にはまってしまった平右衛門役の仁左衛門に責任を問うても仕方がないのである。伴内と九太夫のくだりの面白くなさ、力弥がまったく芝居になっていない点、これらについても座頭役者としての責任をしっかり問うべきだろう。今どきの歌舞伎評論家は一体何をしてるのか!!!
 3幕目の「河庄」はもちろん往年の面白さとは比ぶべくもないが、年齢のわりに藤十郎は若く見えて、まあなんとかなってるほうだろう。孫右衛門役の段四郎は心配されたが、思ったよりセリフは入っていたし、この人らしい消化をして役作りをしている点がとても評価できる。今となっては貴重なバイプレイヤーである。
扇雀の小春も思ったほど悪いできでなく、それなりの健闘を讃えたい。ただセリフまわしで張って言うときはともかく、ふつうに言うときの音程の取り方がまずいのはこの役者の大きな欠点で、それをなんとか克服してもらいたいものである。翫雀の丁稚役はごちそうのつもりだろうが、ともすれば本役に見えるのがご当人にとっては問題であろう。
南座を見たのは3幕までで、そのあと関係者と会って肝腎の取材をし、翌日は久々に中村京蔵さんと会って「川上」で会食。そのあとお茶の阪本先生のおうちで海老蔵問題についていろいろとお話しし、3時半の新幹線で東京に向かい、渋谷のシアター・コクーンでケラリーノ・サンドロヴィッチ作演出「黴菌」を観劇。
この作品は昭和20年の、ある富豪の家を舞台に、その家族と家に出入りする人びとの話を描いており、オープニングはアガサ・クリスティのミステリーを髣髴とさせるも、ラストはチエーホフの「桜の園」や「三人姉妹」のパロディを想わせて、ケラの芝居はいつもこうした裏切り方をされるのが面白いといえばいえる。
今回最大の裏切りは仲村トオルという役者の扱いで、とんでもない奇妙な三枚目に起用していて、この意外性が結構面白かった。片や北村一輝の起用はTVドラマ等のイメージをそのまま引きずった形だが、ストーリーの主軸を担うだけの花はある。常連の山崎一や生瀬勝久など達者な男優陣もさることながら、今回は女優陣の活躍も目立っていて、高橋惠子のとぼけた味わいや池谷のぶえの三枚目ぶりが際立って面白かった。
 幕間のロビーで演劇ジャーナリストの徳永京子さんと女優の銀粉蝶さんとバッタリお会いして親しくおしゃべりさせてもらったものの、終演後は素早く劇場を出て、湘南新宿ラインのグリーン車に乗り込み、京都駅で買ったお弁当を食べながら帰宅し、さすがに、ああ、シンドの二日間でございました。


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