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2010年09月17日
おろし蕎麦定食
新国立劇場でイプセン作宮田慶子演出「ヘッダ・ガーブレル」を観る前に近くの「そじ坊」で食事。新国も三茶にいた時より意外に行きやすくなって、菅新内閣の人事もTVニュースでしっかり見ることができたのでした。
近代劇を代表するイプセンの作品は近年海外でもブームが起きて、それだけ現代性を見直されているようだが、今回の上演もむろん翻訳からして現代的なドラマに仕立てることを企図したものであろう。
主人公ヘッダ・ガーブレルは誰もが受け入れる平凡な人生をどうしても受け入れられないことに苦しむ女性で、こうした人物は近代でこそ突出した悲劇のヒロインたり得たが、高度消費社会の現代ではよくありがちな自己肥大化をもてあますオンナでしかなく、結果イプセンの悲劇がアイロニカルな喜劇に仕立てられることでみごとに現代性を獲得しているともいえるのが今回の上演だ。ヒロイン役の大地真央がふしぎとコメディエンヌの才に恵まれているのも功を奏しており、ヘッダと対照的な聖女型の女性を演じた七瀬なつみとのやりとりが面白い。ただし夫役の益岡徹との関係はともかくも、彼女のかつての取り巻きだった男たちとの関係性がくっきりと立ちあがって見えてこない点は大地の演技及び宮田演出の弱点であろう。
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