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2010年06月11日

カレー、タコとセロリのサラダ

近所でオイルマッサージをしてもらった帰りに総菜屋でゲット。
引っ越しの準備で筋肉疲労がひどいのは書籍もさることながら劇場プログラムの整理をしたからで、最初はこの際全部捨てようかと思ったのだけれど、書籍よりも再入手は困難だし、想い出の種にもなるしで、やっぱりきちんと整理して残すことにしたのだった。で、近年はシアターコクーンやさいたま芸術劇場あたりのが多かったりもするが、やはりダントツは歌舞伎のプログラムで、大きな段ボール箱が何箱分にもなり、古いところでは海老サマと呼ばれた十一代目團十郎襲名公演や,六代目歌右衛門襲名公演のプロなどが今では売りに出せば結構なお値打ち品ではないかと思われる。自分が生まれる以前の歌右衛門襲名のプログラムをなぜ所有しているのかといえば、親から譲り受けたのではなく、私が子供の頃に周囲の歌舞伎贔屓の方から頂戴したのである。なにしろ子供のくせに歌舞伎好きというのは当時は珍しかったから、おとなたちはみな親切に歌舞伎の四方山話を聞かせてくれたし、古いプログラムを譲ってくれたりしたものだ。つまり歌舞伎の伝承は役者だけにあったのではなく、観客のほうにもしっかりあって、だからこそ古典演目が守られてきたともいえるので、役者だけに伝承させておいたら、かりに大根役者にムチャクチャやられたとしても、それをチェックできないことになる。先月も歌舞伎座を見て、こんな演じ方をよく許しておくなあ!と憤慨した場面が何度かあった私だけれど、今どきは観客はもとより、ひょっとしたらスタッフや制作陣にも伝承が途絶えているのかもしれず、そんなものを古典芸能として有り難がるのはどうかしていると言わざるを得ない。 松竹創業30周年と50周年記念興行のプログラムまで所持している私としては、かかってこいや~(笑)てな感じで、今どきの古典歌舞伎には言いたいことを言わせてもらうのである。
ところで昨夜はコクーン歌舞伎終演後に出演者の中村京蔵丈と久々にあって歓談し、所持するプログラムの話をしたら「それはゼッタイ手放せない貴重品じゃないですか~」と言われたから、ちょうど発売中の「サンデー毎日」に「捨てられないモノ」という特集記事があって、その取材を受けた話になった。私が捨てられないモノに挙げたのは歌右衛門が45年前に「娘道成寺」の舞台で自ら撒いた手拭いで、当時まだ小さな子供の私はイッチョマエに3列目の席に座ってたまたまゲットして以来、今やすっかり黄ばんで黒ずんでいるにもかかわらず、なおも引っ越し先にまで持って行こうとしているのだった。その手拭いと形見分けのクマのぬいぐるみを持った姿で写真を撮られた話をしたら、「松井さん、それは捨てられないモノとは言わないのよ~紛れもない、お宝よ、お宝!」と京蔵丈は仰言ったのであります。


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コメント (1)


今日は、お声を掛けさせて頂き、失礼致しました。以前、武智鉄二・八代目坂東三津五郎「芸十夜」を、対談だから、とっつき易いかも、と読み始めたものの、あまりに高レベルな内容で歯が立たなかったのですが、これを機会に、またつまみ食いならぬ、つまみ読みでも再挑戦しようと思います。

投稿者 ウサコの母 : 2010年06月12日 20:36

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