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2010年05月26日

タジン鍋、ヅケ鰹のサラダ、浅蜊のスパゲティ

元マガジンハウス社の中田さんとわが家で食事。拙著「非道、行ずべからず」の担当編集者だった中田さんにはその後もミステリー物についてのアドバイスを頂戴しているが、大正から昭和初期にかけての「新青年」に発表されたミステリー作品も多数お持ちで、今日はそれらをご持参になって色々なお話を伺った。ご主人が映像やCG関係のプロダクションを経営なさっている関係でその方面のお話も伺いつつ、電子出版に関する話や今後の出版界はどうなるんだろう?なんて話も出たのだけれど、私がとても面白く伺ったのは現在中学生の息子さんを持つお母さんとしてのお話である。「小学校4年のときに500円で140円のハンバーガーを買ったらお釣りはいくらもらえるか?なんて問題が出るんで呆れちゃったんですけど、別に習わなくても現実にやってるわけだから、教えられるほうも白けちゃうし、学校の必要って全くないという感じで、とにかく知識を詰め込むのはよくないから、何も教えないで、ただ考えなさいというんだけど、何も知らないと考えようがないから、作文でも2行くらいしか書けないんですよ。それがいわゆる『ゆとり教育』の実態だったわけなんですね」という話にはビックリしてしまった。で、今や中学生になった息子さんとその周囲では、「パターンが全く同じような小説みたいなものを、みんな書いてるんですよ。私たちのころはロックをやるつもりがフォークになっちゃったみたいな歌を作る子が沢山いましたけど、今はなぜか小説みたいなもんを、みんなが書きたがるんですよね」とのこと。恐らくケータイメールの影響下に生まれた現象と思しいが、そうした子供たちが多いとすれば、電子出版物が普及したあかつきは、質の良否は問わずコンテンツが爆発的に増えるのは確実で、その中からまた新たなプロが育っていくにちがいない。それは紙の本のプロとは決別したところに出現するプロであるかもしれないと私が思うのは、明治になって活字というものが普及してから出現した小説のプロは、ごく初期を除いて、それ以前の戯作者とは決別した存在だった事実を知るからである。今はまさに、版本から活字本に移行した時よりもっとドラスティックな転換を迎えた過渡期であることは間違いない。


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コメント (3)


昨日はごちそうさまでした!
「新青年」に発表されたミステリをたくさん持ってるなどということはなく、
あの当時の雰囲気がわかれば、と入手が簡単なものを、お持ちしてみただけです。
でも、ミステリという輸入文化が、当時の青年たち(女性もけっこういますよね)に
自分も書いてみたいって思わせるようなものだったことがわかっておもしろいですよね。
あと算数ですが、さすがにハンバーガーだけでなく、
ハンバーガーにポテトをつけたら、いくらおつりか、っていう
足してから引くのか、2度続けて引くのか式の工夫するという問題です。
2行しか作文書けなかった男子たちが、まがりなりにも小説(ライトノベル)を書きたいと思うのは、
ゲーム、アニメ、コミック等や、投稿サイトなど携帯やPCのネットワールドに
何かを促す側面があるということなんでしょうね。
国境も軽く越えた、あらがえない変化なので、おもしろがるしかないのかもしれません。

投稿者 なかた : 2010年05月27日 09:34

算数ですが、現在小学校2年生の息子の毎日の宿題は計算ドリルをやること、なんですが、同じ問題を何回も繰り返すのです。もちろん息子は面倒なので最初にやった答えを次回から丸写ししているだけ。こんなんでいいのか?とつい思ってしまいます。どんどん別の問題をやったほうが訓練になるような気がするのですが・・・。はるか昔数十年前の自分の小学校時代もこうだったっけ?と。思い出せないのですが。

投稿者 ちえこ : 2010年05月27日 09:56

「ゆとり教育」の結果として、カタカナが苦手というのもあります。

現在、20代半ばの長男が中学生の頃、言っていた話が忘れられません。

R君が「とっさに言われても書けない字があるんだ。カタカナのヌはとっさに言われても書けないな」と言うと、周りの全員が賛同した、という。

ここで特筆すべきは、その構成員で、身内自慢をするようで恥ずかしいのだが、首都圏の中高一貫校で最難関校であり、みんな開成や麻布の合格者たちだ。
その子達にして、カタカナは不得手であるということ。
つまり、カタカナを小学校の教室で教える時間が無い、読み書きのトレーニングが皆無であり、その成果を問うことがまるで無かったわけです。

なので、カタカナが苦手の若者がいても、それは時代が悪かったのだ、と暖かいまなざしを。(というのはダメか。優しく鍛えてあげましょうの方がいいのかしら)

投稿者 せろり : 2010年05月28日 10:34

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