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2010年05月18日
ホタテ貝のソテーほか
さいたま芸術劇場で井上ひさし作。蜷川幸雄演出「ムサシ」を見る前に近所で食事。
すでにロンドン公演で意外なほどの好評を博したバージョンでの上演で、初演よりも台本がかなりカットされている分、話がすっきりとしてテーマ性も鮮明になったし、初演では一体どこへ引っ張られていくのか役者陣もわからないような雰囲気だったが、今回はラストに向かって一直線に進むから宮本武蔵役の藤原竜也も非常に落ち着いて好演している。対する佐々木小次郎役の勝地涼も初演の小栗旬よりも小柄だという点は少し残念だけれど、小栗旬の陽気な小次郎とはゼンゼン違った陰翳のある役作りをした点は評価できる。全体にドタバタ調は影を潜め、バカバカしさが薄まった結果、とてもシンプルなテーマが際立ち、キャスト・スタッフ共にほとんど変わっていないにもかかわらず初演とは相当に趣きが異なる印象だ。最後の決着をつけようとする武蔵と小次郎の闘いをなんとか止めようとする亡霊たちのセリフは、作者の不在を思うと何ともいえない気分にさせられた。
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コメント (2)
単行本になるときには優秀な校閲の方がお気づきになるかと思いますが念のため。「ムサシ」NY公演はさいたまの後ですのでまだ終わっていません。私は金曜日にムサシを観劇予定で楽しみです。
投稿者 KATIE : 2010年05月19日 22:58
ご指摘ありがとうございます。さっそく本文のほうも訂正しておきます。
投稿者 今朝子 : 2010年05月21日 00:19