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2010年04月10日
お茶漬け
東京フォーラムで行われた「和の学校」シンポジウムに出席し、ランチに豪華なお弁当をたっぷり頂戴したので、夜はごく簡単に済ませた。
1300名を上限として参加者を募集したところ、なんと応募が1900名もあったそうで、選に漏れた方も随分いらっしゃったようである。無料とはいえ、実際の参加人数は1200名だったそうだから、この種の催しの動員としては大成功といえるのではなかろうか。たぶん天気が良かったのも幸いしたのだろう。シンポジウムに先立って、裏千家家元千宗室師の「お茶湯(ちゃとう)の儀」が舞台で催され、この間、1200名もの参加者がし~んと静まり返って拝見してらっしゃるのもちょっとビックリで、参加者は相当にハイレベルの方々なのだろうと推察。シンポジウムのパネリストは茶の湯に詳しい心理学者の岡本浩一氏、香道志野流の家元蜂谷宗玄師、落語家の林家正蔵師と私の4人で、それぞれの専門分野が違うために、話の流れを作るのは大変なのではなかろうかと心配されるも、おおまかな構成のラインに沿ってNHKの中川緑アナがそつなく司会進行役を果たされたし、笑いを取る正藏師のフォローもあってリラックスムードで意外にスムースに流れて、参加者の方々も最後までわりあい熱心に聞いてらっしゃったような気がする。
ともあれ、無事に終わってほっとひと息だけれど、個人的には蜂谷師と初めてお目にかかれたのが何よりで、拙著『そろそろ旅に』の中に、蜂谷師のご先祖と縁があるような人物を登場させていて、シンポジウムでもそれが話題にされたのだった。
正蔵師と中川さんとは、米朝事務所を辞められた大島さんの話になり、「ああいう名物番頭さんがいなくなっちゃうのは本当に残念ですよねえ」と正藏師が仰言るので、私は彼女がかつて坂田藤十郎のマネージャーもやってたことを正藏師にお話して、「自分が手がけた古典芸能人をふたりも文化勲章受賞者にしたんだから、大島さんも本望なんじゃないんでしょうか」と言ったのでした。
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コメント (2)
「和の学校」シンポジウムに参加させていただきました。「お茶湯の儀」「鼓童のパフォーマンス」「パネルディスカッション」3つのプログラムがそれぞれ長すぎず、短かすぎず、エッセンスがギュッと詰まった楽しいイベントでした。
お天気もよくて、年度末で慌ただしかった一連の仕事も少し片付いて、少しだけ心に余裕ができたタイミングだったこともあり、心から楽しむことができました。「無理にわかろうとしなくていい」というメッセージに、知識として歌舞伎を学習しようとしていた私の肩の力も抜けた気がして、心と頭が「解放感」で一杯でした。
桜舞い散る中、足取りも軽く自宅まで徒歩で45分のお散歩も楽しんだ春の一日でした。
投稿者 Fukusuke55 : 2010年04月11日 19:10
「和の学校」シンポジウム、とても興味深く、楽しいお話が聞けました。特に印象に残ったのは、「現代はネット社会になり、横のつながりが広がっている一方、縦のつながりが疎まれているが、縦と横、両方の関係の間に人間がいる。文化や伝統というのは、人と人をつなぐものだ。」という事と「演じる側だけでなく、観る側の伝承も、次の世代につながる。」という事でした。その前日、演舞場で20才位の若者とお祖母さんらしき2人と隣り合わせ、幕間に芝居の話をしながら、お弁当を食べる様子をほほえましく見たところだったので、(あの2人も芝居を通して、より絆が深まっているのだろう)と思えました。「そろそろ旅に」、買ってあるものの未読で、香道にも興味がわいてきましたし、読むのが一層、楽しみになりました。
こうした有意義なイベントに無料で参加できるのは、都会に住む者の有難さを感じます。2階席からは、よく見えませんでしたが、江戸小紋に古典柄の帯、とても素敵でした。
投稿者 ウサコの母 : 2010年04月12日 00:26