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2007年09月13日

鶏肉の鍋焼き香味ダレ

QPで見た料理。下に敷く青梗菜は塩を入れた胡麻油で炒めて水を加えて蒸し煮にする。鶏肉は下味をして片栗粉をまぶして炒め、出てくる脂をしっかり取り除く。生姜、ニンニク、長ネギのみじん切りに酒、味醂、醤油を加えた香味ダレをまわしかけ、仕上げに酢を振る。
「戦後レジームからの脱却」を唱えていた人物は果たして日本の「戦後」をどのように認識し、「売国奴」とも呼ばれた祖父岸信介のどこをどう評価していたのかも不明のまま自爆したが、私は今日その「戦後」を知らしめる映画を2本見た。2本とも監督は武智鉄二である。
 いくらわが師匠でも、晩年のクソつまらないポルノしか見ていない私にとっては、映画監督としての武智鉄二は評価のしようもなかったのだけれど、今になって何故?と正直ビックリするような武智映画の連続上映会が催されて、しかも会場が近所の三軒茶屋中央劇場とくれば、立て込んでる仕事の合間を縫って駆けつけないわけにはいかなかった。
 1本目は『黒い雪』で、これは伊藤整の「チャタレイ裁判」と並んで有名な戦後のワイセツ裁判事件を起こした作品で、武智監督は「猥褻図画公然陳列罪」に問われて刑事被告人となり、三島由紀夫と大島渚が証人席で弁護にまわって無罪を勝ち取ったという問題作である。舞台は横田基地近くの娼館と化したドライブインで、そこに巣くう米兵相手の娼婦たちの生態が実になまなましく描かれている。恐らくワイセツ罪に問われたのは、素っ裸のヒロインが横田米軍基地のフェンスに沿って延々と走り続けるシーンであり、今日に見れば一体どこがワイセツなの?と言いたくなるほどボケボケの映像だけれど、実際に基地の真横で撮影してる様子だから、撮影自体は今日でもこれをする勇気のある人がいるかしら?と思うような衝撃的な作品である。主人公の男性は、ただ米兵を殺したかったからという理由で黒人を刺殺するし、一方で米軍将校は公金横領の罪を揉み消すという筋もあり、反米思想が余りにもあからさまで、そのことが当局に睨まれて起訴されたとする見方も大いに頷ける。出演者の多くは素人っぽくて(というよりモロ素人で)退屈なシーンも多く、映画として今日にそう高く評価できるものでは決してないけれど、米兵相手の娼婦たちをこれほど真っ向から描いた映画のあったことには大いに驚かされたのである。
もう一本の『戦後残酷物語』は主演女優の路加奈子がそこそこ達者で『黒い雪』よりもはるかにウエルメイドな仕上がりを見せ、チョイ役に紅テントの李麗仙や黒テントの斎藤晴彦が出ているのもご愛嬌だが、これまた米兵相手の娼婦を主人公にした作品で、実話を元にしているから衝撃度がいっそう高い。ヒロインはまず日本の警官にだまされて米兵に輪姦されたことをきっかけに娼婦に転落する。米兵50人が病院を襲って看護婦や病床の患者を次々と強姦するシーンにもビックリしたが、米の買い出しに出かけた女性が米軍将校の女狩りに遭い、ぶちまけられた大量の米粒の上で犯されるシーンは迫力満点で、そこには日本そのものがアメリカに蹂躙されているメタファーが鮮明に読み取れるのだった。時折挿入されるアヴァンギャルドな映像は今日から見ればやや噴飯ものといえなくもないが、全体としては露悪趣味なまでにリアルなシーンが満載で、「戦後」の日本を斯くも大胆に容赦なく描いた映画があったことは今日にもっと知られてもいいように思った。 


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