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2007年07月15日

THE BEE

ako

 台風が関東を直撃するという話だったので、乗馬は明日にまわして、今日はバッチリ仕事するつもりでお昼過ぎまでゲラ直しをしていたが、ああ、こんな日ならひょっとしてOKかも?と思って3時から近所の世田谷パブリック・シアター・トラムでキャンセル待ちをして無事チケットを入手し、野田秀樹脚本・演出の話題作『THE BEE』ロンドン・バージョンを観ることができた。
 NODA・MAPと世田パブは毎公演ご招待戴いてるので、当然これも戴けるものと厚かましく思い込んでいたら(笑)、トラムはさすがにキャパシティーが小さいせいか、それとも招待されながらブログで悪口を書くのに気づかれたのか(笑)、今回は残念ながら招待状が来ず、チケットを取ろうとした時はすでに完売だったのですっかりあきらめていた。ところが先日友人の岡本螢から電話があって「野田君はやっぱさすがだよね」との感想を聞いてからまた急に観たくなった。ダメもとでキャンセル待ちに並べるのも劇場の近所に住んでる者の強みであります。で、結果、やはり観てよかったと思える濃密な70分の舞台だった。
 原作は筒井康隆の『毟りあい』で、立てこもり犯によって妻子を人質にされた善良な市民が、逆に立てこもり犯の妻子を人質にとって交渉を続けるという、典型的な筒井ワールドの不条理劇である。主人公はマスコミに仕立てられた善良な「被害者」よりも、むしろ自らが「加害者」になるほうを選ぶことで自己実現を遂げるという点に強いスポットを当てたところが野田の作意だろう。かくして被害者から加害者に転じた主人公はその凶暴性をどんどんとエスカレートさせ、ついには自壊して世界が失われてしまう。そこには9.11以降、世界中で顕著になった「報復の連鎖」のメタファーが明解に読み取れるのだった。
 ロンドン公演は前作『赤鬼』よりもはるかに評判がよかったらしいが、それはこうした意図がわかりやすい点と、演出も『赤鬼』よりずっと整理されて実に求心力のある舞台を成立させた点が大きいのだろうと思う。個人的には野田秀樹の女装演技が今までになく色っぽいので面白かった(笑)。日本バージョンでは野田が主人公を演じて、これが実に今までになく素晴らしい演技だったと岡本螢は絶賛していたから、見逃したのは残念である。
 写真は劇場から帰ってわが家で食べた晩ご飯のおかずで、沼津産アジの干物、水菜と油揚げの煮浸し、メカブの酢の物、某新聞社の方から頂戴した玉木屋製の牛肉ゴボウ巻きであります。 


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コメント (2)


私は日本版を見たのですが、「蜂」の意味が最後までわかりませんでした。「神」のようなものでしょうか?それとも「良心」とか人間そのものの存在とか、そういう何かなのでしょうか。
こういう質問してしまうこと自体がレベルの低い観客そのものなんだろうなぁと思いつつ、ココで答えが得られるなら満足です(^^ゞ

投稿者 猫並 : 2007年07月16日 21:07

>「蜂」の意味が最後までわかりませんでした。ココで答えが
得られるなら満足です(^^ゞ

鋭いツッコミ畏れ入ります(笑)。私も確信を持って書けないので敢えて触れなかったのです。人間の運命を操るふしぎな存在で、俗ないい方をすると「魔が差す」の「魔」のようなものだたりするのかしら?と始めのほうでは思いましたけど、後半になるとそれが「神」のような気もしてきましたね。レベルの低い答えで申しわけありません。

投稿者 今朝子 : 2007年07月16日 22:02

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