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2007年04月20日
筑前煮、鱒の南蛮漬け、シーザーサラダ
三軒茶屋シネマの帰りに近所の総菜屋でゲット。
前からどうしても見たかった映画が近所で2本立上映されており、きょうが最終日だったので仕事を夕方早い目に切りあげて映画館に直行した。
1本は昭和天皇裕仁を初めて主人公にした「太陽」で、現人神と奉られていた天皇が戦後に自ら「神格」捨て、奪われていた「人格」を獲得するという壮大なテーマを実にこぢんまりとした日常の中にドキュメンタリータッチで描こうとした映画だ。主演イッセー尾形のそっくりさんぶりは「クイーン」のヘレン・ミレンにも匹敵するが、如何せん「人格」を奪われていた天皇を「子どもみたいな人」としてしか描けない映画そのもの不備もあって、イッセーの単なるそっくりさんショーに終わってしまった観は否めない。それにしても口を半開きにしていた癖や、歩く恰好、空を見あげる姿勢など驚くほど似てるのにはびっくりさせられた。
もう1本は「ヨコハマ・メリー」で、これは現代人形劇センターの塚田さんに強く薦められて見たくなった本物のドキュメンタリー映画だ。「ハマのメリーさん」と呼ばれた名物女性の一生が様々な人の証言で淡々と綴られていくが、そこに時代の流れが鮮やかに映しだされ、見終わって、こんな人がいたのか!という驚きよりも、どんな人の一生も面白くて、哀しくて、切なくて、美しいのだという発見を新たにさせられる実に優れた作品である。
メリーさんは戦後の日本で「パンパン」と呼ばれていた米兵を相手にする街娼の1人で、舞踏の大野一雄的白塗りメイクをして74歳まで横浜の街角に立ち、1995年のある日忽然と街から姿を消す。そこから数々の証言が始まって意外なほど明るくてしかも泣けるラストを迎えるが、ドキュメンタリーでありながらそのドラマチックな構成力と、感傷的な映像を排した監督のセンスは素晴らしい。まだご覧になってない方は機会があれば是非とも!とオススメしたい1本だ。
ところでメリーさんならぬ吉原一の花魁がある日忽然と姿を消すところから始まる拙著『吉原手引草』は
おかげさまで早くも増刷が決定しました(^。^)/
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