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2007年02月21日

ガラパゴス紀行 その8

 ガラパゴス最終日はダーウイン研究所でお待ちかねのロンサム・ジョージとご対面!ところが望都さんの友人が前日の疲れかついにここでダウンしてタクシーで病院に向かうはめとなる。一番年若な友人が英語に堪能だったから助かったが、日本語が全く通じない先でのこうしたハプニングはやはり怖い。もっともツアーメンバー全員が「彼女は大丈夫か?」と心配そうに訊いて私たちを気づかい、尚且ついろいろと手伝ってくれたのはまさにWe are the worldを地でいく感じで、非常にいい体験をさせてもらった気がする。たまたま皆さんとてもいい人たちの集まりだったということもあるだろうけれど、一方で圧倒的な大自然を前にすると人間はお互いに助け合おうとする気分が強まるのだとも思えた。ガラパゴスに来て強く感じたのが動物の素晴らしさもさることながら、人間もけっして捨てたもんじゃないということだったのは私にとっていい意味での皮肉であった。
 かくしてガラパゴス諸島をあとにした私たちはエクアドル最大の都市グアヤキルのホテルでしばし休憩をしてから深夜便でアトランタに向かうも、空港でまたしてもお土産に買ったラム酒を召し上げられて、さらには再度の呼出しを受け、目の前でトランクを開けられてひっかきまわされるという悪夢のような目に遭ってしまった。これすべてテロや薬物の侵入を恐れるアメリカの用心深さだと思うにつけても、こうした世の中にしてしまった原因について思いを馳せずにはいられなかった。
 人間は決して捨てたもんじゃないのだけれど、その人間がつくり出した社会のシステムはもう行くとこまで行って限界に近づいていることだけは確かだろうと思う。人類に未来があるかどうかはこれからの人間が次の一歩をどう踏みだすかにかかっている。私よりも若い人たちや、若い子どもを持つ親御さんたちには、現状の枠組みの中でなんとか陽当たりのいい場所を探そうとするようなセコイ根性を持たず持たせずに(かりに持ってもいずれ共倒れになるのは知れてるのだから)、何とぞ遠い未来があることを信じて今日ある社会の枠組みとは違う方向へ目を向け、心を傾けてほしいと願わしくなる。これがダーウインの進化論の舞台となった島を訪れた私の感想であります。
 写真上段はダーウイン研究所に近い突堤の陽当たりのいい場所で(笑)争わずにぼーっと甲羅干しをしてる海イグアナの群れ。中段はロンサム・ジョージ君によく似た鞍型のゾウガメ。肝腎のジョージ君はビデオを回すのに夢中で写真を取り損ねてしまった。下段はグアヤキルのホテルの目の前にある公園に大量に棲みついているグリーンイグアナの群れ。何かに驚いて猛スピードで木登りする瞬間を激写。
 以上、爬虫類嫌いの皆様には本当に申し訳ない写真の連続になってしまいました(笑)。
 


コメント (6)


お帰りなさい!よくぞご無事で!!行ってらっしゃる間にエクアドルで列車事故が有り、ひやっとしました。
心、体、命の洗濯が出来た様ですね。おめでとう&羨ましい・・
楽しんで旅行記を読ませてもらってます。友人にもこのサイトを奨めてます。
ご旅行中に今朝子さんのご本を2冊読破しました。読後感想文は追って・・
とりあえず体を休めて下さい。

投稿者 ともちん : 2007年02月21日 16:18

改めてブログって凄いと思いました。
プロの作家の、タイアップ企画でない旅行記を読む機会があるなんて、タダで書いてるなんて(笑)
爬虫類のイメージばかりのガラパゴスでしたが、記事を読んで「そんな南にペンギンがいたのか」とか「アシカもいるのか」とびっくり。
借金してでも行った方が良いと聞いてさらに興味津々になりました。
ガラパゴスを見て死ね…ということかなぁ。

投稿者 猫並 : 2007年02月22日 23:09

いろいろとお心遣い有り難う存じます。今週は少しゆっくり過ごして、来週からは本格的に仕事モードに突入するつもりです。

投稿者 今朝子 : 2007年02月23日 21:31

ワクワクと、一気に拝読させていただきました。
現地の珍しい自然や旅程のご紹介はもちろん、旅の中で自然保護や地球環境に向き合い、一期一会の人々と触れ合った松井さんの率直な感想に、(失礼ながら)とても共感しました。

酸素缶を没収され、萩尾さんや年若い方がダウンしても、インソムニアだけでお元気だった体力を、見習いたいとも思ったものです(笑)

じつは、私も一大決心でブログを始めたばかり。まだ形を整えるのに精一杯ですが、やっぱり中身が肝心と思い知り…精進いたします。

投稿者 シンゲル : 2007年02月25日 16:31

友人から松井今朝子さんの『家、家にあらず』が面白かったよと勧められ、とりあえずネットで検索してみようと思いここを拝見しています。
思いがけず、あこがれてやまないガラパゴスの旅行記が載っていることに気づきとてもうれしくなったのですが、同行メンバーの一人が萩尾望都さんで、しかもイグアナとのツーショットが見られるとは。思ってもいない展開に感動してしまいました。
ほぼ1年前の記事にコメントもどうかなと思ったのですが、書かずにはいられませんでした。
これから小説の方もじっくりチェックをして早速拝読したいと思います。勧めてくれた友人に感謝です。

投稿者 マドカ : 2008年02月06日 22:01

>萩尾望都さんで、しかもイグアナとのツーショットが見られるとは。

この写真を撮ったのは私も自慢です(笑)。このブログは4月に文庫本として刊行する予定で、そこには逆に望都さんが描き写された私が出てくるマンガも収録されています。

投稿者 今朝子 : 2008年02月07日 22:37